「人類の将来に光を感じます。」最高の花婿 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
人類の将来に光を感じます。
フランスで大ヒット。1200万人が観たそうです。
「差別しないって、こんなにも楽しいことなんだよ」と、
エンディングの披露宴のダンスBeetは教えてくれる。
軽妙早口の、セリフの掛け合いがとっても愉快です。
みんな頭の回転の早いこと!何度、声を出して笑ったことか!
膨大なページの台本だったはずです。脚本家の並外れた力量を感じますね。
そしてかなりの人数の登場人物なのですが、混乱の心配は御無用。
(ちょっとステレオタイプだけれど)、とてもわかり易く4つのカップルが紹介されていますし、それぞれの出自の国民性やその文化が、モデルケースとして提供されるのです。
娘たちのキャラクターもとてもよく色分けされていて親近感。
移民社会と、宗教的対立、そして国籍や植民地政策の傷を引きずる東西南北の世界情勢。
そこに娘4人の結婚が絡むものだから、お父さんもお母さんも、もう避けて通れずにグローバル化の渦中に投げ込まれるわけで。
役者は芸達者揃いです。
製作側の「このフランスをなんとか自由・平等・愛の国として、もう一度立て直したいのだ」という、祈りと熱量を感じました。
先月は「キャロル・オブ・ザ・ベル」を観てレビューも書きました。戦争の結果、家族がみんな死んで、その犠牲の後に孤児たちが生き残って、国籍や宗教を超えて友情を確かめるという悲しいストーリー。
「同じテーマ」を、そのように重たく問題提起する映画もズシンと来るし、本作のように気楽に笑いながら、いつの間にか自分たちの心の風向きを変えてくれる・・こういう映画もいいなぁー
こういう映画を中高生に観せてあげるのも、とってもいい勉強になると思うのです。
自分の結婚についても絶対にポジティブなイメージを培える。
かつ、
世の父親たちにとっては「娘が連れてくる彼氏」を頑張って受け容れるための、覚悟のイメトレになる。
そして更には、娘が連れてくるあちらの御両親とのお付き合いも、気が重いけれどね、心の準備にもなる。
コートジボワールの父、圧巻でした。
ド・ゴール主義の父親像。
染み付いて 凝り固まった偏見は、多少のことでは氷解しない。
きっと必ず、白人のフランス人の父=クロードの意識にも“揺り返し”が来るだろう。
差別は骨と血に しかと植え付けられているから。
でも思うのだ、クリスマスごとに、誕生日ごとに、過越祭やラマダン明けの記念日ごとに、この5つの夫婦は何かの理由を付けて帰省して、集合する。
そしてまた10人での すったもんだのすれ違いと、たくさんのディスカッションをする。
そして(ここ重要)彼らはそのたびに幾度も全員でのハグを繰り返して、
新しい家族の姿を築いていくのだと思います。
「黒いコーヒーと白いミルクで、美味いカプチーノが出来るじゃないかヨ?」と自分の口から言ってしまって、そう言えてしまった自分の、それまでと違った驚きの姿によって、ハッとして自分の変革が分かるクロードのレストランでのシーン。
とっても良かった。
愛と笑いは、必ず民族主義やヘイトの“壁”を打ち壊すのだと、
この映画から信じさせてもらえました。
先ず事件が起こる。そして私たちは考えるのです。
·
こんにちは♪
共感とコメントしていただきましてありがとうございました😊
結婚する時の男女それぞれの苦労や思いがあるのですね。
私、この2組のご両親の俳優さんチェックインしています。
フランス🇫🇷のお母さん、お察し通りなかなかです。
おフランス🇫🇷作品挫折しやすいですが、◎❣️すみません、3作共、
何も考えず、ニタニタクスクスです🦁
こんにちは♪
本作大好き💕です。
あとアンコールとファイナルの2作あります。大好き❤です。
中国人に嫁いで絵を描いている次女が三女の俳優さん、『最強のふたり』で、二人に、鼻血ブーの絵を見せていた画廊の人です。
きりんさん
コメント共感ありがとうございました。
「グローバル化の渦中に投げ込まれ」た時のための「覚悟のイメトレ」と「心の準備」になりますね!🤣 的確な表現のレビューを拝読して、再鑑賞したくなりました。オススメの作品も機会あれば観たいです。どうもありがとうございます。
【元ワイン屋のきりんのオススメ】
舞台となったフランスの「シノン」のワインは、素朴でなめらかなルビー色のワイン。
この11月はボジョレーのシーズンですが、是非CHINONも味わってください。あの両親と4人娘を思い出しながら。
2000〜3000円くらいです。