「生きていく方便(とてもネタバレしてます)」追憶の森 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
生きていく方便(とてもネタバレしてます)
これだけは言いたい。ヘンゼルとハンサムを読み間違える日本人はいません!
ナカムラタクミが人間だと思っていた頃は、窓際族で英語ぺらぺらって説得力ないわー、こんだけ堪能なら転職できるっしょ?と思っていましたが、ジョーンの魂の化身と解釈しましたので、ならば英語ぺらぺらでオッケーですね。
アーサーもナカムラタクミも、相当死にかけてるのに強かったですね。腹に木が刺さってすぐに歩けるもんですかいな?あんな崖から落ちたら死にません?
あとは、フユは名前でおかしくないっすよ。
他の3つよりは名前への使用率は低いけど、
と、引っかかる点もありましたが、相対的には良かったです。全部見てるわけではないですが、近年のマコノヒーと、ガスヴァンサントは、わたし的にはハズレなしなので。
(渡辺謙の良さは昔っからあんまりわからない…すいません。下手とは思ってません)
ナオミワッツも良かったです。
ジョーンが病気になる前のアーサーは、酷い男です。浮気の過去をネチネチやられるのは当然ですよ?そんなもん一生言われるさ、そのくせ、切れてグラスを投げつけるなんて!!こんのDVヤローめっっ!!と思いましたよ本当に。
年収2万ドルが悪いか?そうは思わないけれど、そのせいで妻にしわ寄せが行くならば生活水準を下げるなりすることあるだろ。あと個人的に大学非常勤講師って人達に嫌なイメージがあるので…ごめんねアーサー、嫌いでした。
でもジョーンが死んで(あの死に方は予想だにしてなかったわ…)、ふらふらと日本に来て富士の樹海で服毒自殺をしようとして、ナカムラタクミに関わって、思いがけず心情を吐露するアーサーを見ていると、なんだか背中さすりたくなりました。
ナカムラタクミが魂はいつもあなたのそばにいる的なことゆっていて、あ、八百万の神の寄り添い方だなぁと思いました。神道だなぁと。で、そのナカムラタクミがジョーンの魂だったと。
わたし自身は魂をそこまで信じてはいません。見たことも感じたこともないからです。幽霊的なことも感じたことがないですし、その手の語り口はあまり好きではないですが、この映画は嫌ではなかったです。
なんでかなーと考えたのですか、多分、その魂は生きている誰かのための存在だからかなぁと。魂自身のために出てきてる感じがしないので、生きてる人が見た希望として受け止められるからかもなーと。
宗教も神様もアーサーが言った通り、人が苦しみの中で作ったものだと思います。生きてゆくための方便として。物語も同じかと。だからわたしは見たり読んだりを続けてると思っています。生きていく方便が欲しいから。
妻の好きな色も季節も知らないと言ったアーサーに、ナカムラタクミは妻はキイロで娘はフユというんだと言います(順番逆ですが)。それはジョーンの好きな色と季節の事だと気づくシーンがラストに来ます。
葬式の回想あたりでそのことに気づき、そのオチ誰から聞くのかなーとおもってました。
あ、ヘンゼルとグレーテルもナカムラタクミが言い出したことで、多分好きな本を、教えてくれたってことか…。今気づいた。
でもジョーンならヘンゼルとハンサムをもっと言い間違えないのでは?えーじゃあナカムラタクミ=ジョーンではない??
深く考えてはダメですね。