「経済はいずれ定常状態に向かうべき」シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人 月野沙漠さんの映画レビュー(感想・評価)
経済はいずれ定常状態に向かうべき
2015/09/29、シネマ・ジャック&ベティで鑑賞。
テレビや新聞も経済成長が絶対に必要と言うばかり。永久に成長し続けることなんかありえないし、発展途上国ならまだしも先進国まで成長ばかり考えていていいのか?そんな普通なら誰でも抱きそうな疑問だが誰も言わない疑問を、経済の学者や、銀行家などの経済の専門家や大学生たちに真正面からぶつけていくドキュメンタリー。実はこのようなことを自分も思っていたので我が意を得たりでした。日本の経済学者でもそんなことを言ってる人いないですよね、自分の知る限り森永卓郎くらいでしょうか?そのせいか、彼もちょっと変人扱いされてますよねw
彼女たちの疑問は経済界では禁句なのでしょうか?このまま成長を続けていったらどうなる?という疑問に対し彼らは、無視したりこれまでは大丈夫でしたとかの返答で話が噛み合っていない。しかも彼女たちをどこか馬鹿にした態度。経済学の世界では地動説に対して天動説をとなえるくらい愚かな発想でしょうか?もしそうなら論理的に説明してあげれば彼女たちは納得したでしょう。
真剣に問いかける彼女たちを愚かな老婆達と扱う、金融屋や大学教授、大学生たちでしたが、その疑問に答えられない、または考えたこともない、考える必要もないと思っている彼らのほうが愚かに見えました。
ウォール街のクリスマスイベントに乱入した時は、シャーリーの耳元に周りに聞こえないような小さな声で「心臓発作で死ね、クソババア」とひどい言葉をかける男がいました。彼女はひるまず「あなたの名前は」としつこく聞きましたが、こんなことする卑怯な男が名乗るはずもなかったですね。
中には彼女たちの疑問をきちんと捉えて研究している学者さんも二人出ていて、その一人の話が印象的でした。
「一分で倍に増えるバクテリアを一つ瓶に入れる。一時間でその瓶が満杯になるとしたら、その瓶が半分になるのは何分後か?」という問にシャーリーは即座に答えていました。59分後です。このことでも決して彼女が馬鹿ではないことがわかりますよね。そしてさらに質問を続けます。
「バクテリアたちは何分前に、瓶が自分たちで満杯になることに気づくだろうか?」
十分前?おそらくそのタイミングで危機を訴えても変人扱いされるでしょう。一分前でもあやしい。ていうかその時点では手遅れかもしれない。人間はバクテリアと違って考える脳があるんだから、もっとこの問題について考えてもいいんじゃないかなあ、そんなことを考えさせてくれる映画でした。