「Caleb, you have to help me. 人工知能が人間を超える瞬間」エクス・マキナ アキ爺さんの映画レビュー(感想・評価)
Caleb, you have to help me. 人工知能が人間を超える瞬間
名だたる映画を抑えアカデミー賞の視覚効果賞を授賞した作品です。如何にも視覚効果狙った派手な演出してます!っといった感じではなく、ストーリーに上手く視覚効果が取り入れられているのがいい感じでした。日本での公開はかなり限定的だったのが残念。ホント一部の地域の人しか映画館で観れなかったのでは?
けっこう淡々とストーリーが進んでいくので退屈に感じる人もいるでしょう。しかしよくよく考えると、とても不気味な作品です。見終わった後の何とも言えないゾワゾワする居心地の悪さ。SFにしても超未来の話ではなく、現代と地続きというか、もうホントに目の前に迫ってきているような、近い将来にありえるようなストーリーが余計に不気味さを増します。米英でカルト的な人気になったという話も納得です。
コンピュータに質問を投げ掛けて人間かどうか判別するというチューリング・テスト。限定的ではありますが、2014年にこのテストをパスしたコンピュータが生まれているそうです。視点をコンピュータが人間を騙せるかという所に置くと、この映画のエヴァは見事に人間を超えていますね。
アリシア・ヴィキャンデルが美しい人工知能のエヴァを好演しています。一応ストーリー上は主人公のケイレブの好みに合わせて作られた事になっていますが、アリシア・ヴィキャンデル程可愛ければ誰でも落とせる事でしょう。そんなエヴァに助けを求められてその気になっちゃうケイレブを最近良く見るドーナル・グリーソンが演じています。ハリポタの脇役からの出世頭ですね。更に怪しい社長ネイサン役のオスカー・アイザック。「スターウォーズ」のポー・ダメロンや「x-men」でのアポカリプスとは全く違った印象です。
ケイレブのネットでの検索履歴からケイレブが好きになりそうな女性を作ったネイサンの性格もいやらしいですが、ケイレブがそこそこ優秀であった為にネイサンはおもいっきり足元をすくわれてしまいます。そしてケイレブを騙しきったエヴァ。エヴァが脱出した時にはエヴァ寄りだった気持ちが、良く考えるとここでエヴァを応援しちゃ人類としてダメなんじゃね?と我に返った時に感じる不気味さ。自由を得た後のエヴァの笑顔に逆に怖さを感じました。
なんというか、具体的に何がどう悪くなるというわけではないのですが、人類がコンピュータにとって変わられるという不安感。一説では2045年にはコンピュータが人間を超えるらしいのですが、その足音が聞こえて来るのを感じる作品でした。