劇場公開日 2016年1月8日

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「不屈の人」ブリッジ・オブ・スパイ 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5不屈の人

2016年1月24日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

安心のスピルバーグ作品。エンタメに徹した作品から、シンドラーのリストや、リンカーンなど、実話を基にした作品など幅広く名作を作る監督の作品。今回は実話ベースの話だ。
すごく感動するのと共に、歴史の悲劇を知る上での価値も持っている。トムハンクスの演技にも魅了される。素晴らしい映画である。

冷戦下、アメリカで捕まったソ連のスパイの裁判と、その後のアメリカとソ連のスパイを交換したという話が基になっている。単に裁判と、スパイの交換かよ、と思うかもしれないが、これが一筋縄ではいかない面白い話になっている。
当時、スパイに対して世論は死刑を望むが、主人公はスパイの弁護士として、あの手この手で死刑を阻止しようとする。何故スパイにそこまでするのか。それは、アメリカの精神を守るための戦いでもあった。つまり、如何なる人間も平等に扱うのだということだ。
映画中では、CIAの男との会話で、何故スパイを弁護するのかという発言に対し、アイリッシュ系の自分と、ドイツ系の君が同じ米国人と言えるのは、こうしたアメリカの精神、ひいては憲法があるからであり、それを守る為に戦うのだと、主人公は言うのである。
とは言っても、主人公の気持ちを理解できず非難する人はいつの時代もいるわけで、家族にも危険が襲う。そうした中でも彼は戦い続けるのであった。ソ連のスパイもそれをみて、彼を不屈の人と評して、全面的な信頼を寄せるようになる。
一方、アメリカとしては、ソ連と公式に交換には応じられないので、代わりに弁護士の主人公に交換の交渉を秘密裏にお願いする。無茶苦茶な要望だが主人公は困難を知りながら挑むのである。
まさに、不屈の人という名にぴったりである。

夢見る電気羊