カニバイシュのレビュー・感想・評価
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70点ぐらい。「人生は血まみれの冗談」
初めて知った、ポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督。
巨匠みたいだし興味あるが、苦手な貴族モノだと知って最初はスルーする気だったけど、
ふと気になって調べてみたら、ただの貴族モノじゃなくホラーっぽくなってくみたいじゃないですかー♪
面白いかも♪と急旋回して観てみました。
始まりから不穏な雰囲気ダークな感じで、ホラーっぽく、いい感じ。
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』っぽいな…と思いつつ観ていると、
ずーっと歌ってばっか、99.99999…パーセント歌ってばっか、このまま終わるのかと思ったら、最後の最後ふつうに喋る人いた(笑)
嬉しかった(笑)あなたは救世主だ(笑)
最後の展開はビックリ(笑)鎌田行進曲のテーマが頭の中に流れてた(笑)
観たことないし内容も知らないんだけど、この展開には、この曲が似合う(笑)
チャン、チャン♪って感じ。
劇中 「人生は血まみれの冗談」って言葉が出てくるんだけど、いい言葉だと思った。
予想より良くて、スルーしなくて正解だった。
僕は少し調べてしまったんですが何も知らない方が面白い、何も調べないで観て下さい。
音楽が素晴らしい
タイトルなし(ネタバレ)
とある舞踏会で知り合ったアヴェレダ子爵(ルイス・ミゲル・シントラ)とマルガリーダ(レオノール・シルベイラ)。
恋をしたのはマルガリーダの方だった。
子爵は、彼女の恋情を突っぱねてていたが、根負けして婚約。
婚礼の夜に、子爵はマルガリーダに自身の秘密を打ち明ける・・・
といった物語で、相手を人造人間と知らずに恋した娘の話をオペラで描いたもの。
オペラなので、とにかくまだるっこしい。
その上、語り部までいるのだから、まだるっこしさは猶更。
曲調にも変化がなく、豪華絢爛な画面も慣れると・・・
ということで、途中で飽きてきました。
(開始早々に沈した人のイビキが全編を覆ってました)
正体を現した子爵に対してマルガリーダは拒否。
あれほど、どんな姿でも愛すると彼女は誓ったのに。
驚きのあまり、マルガリーダは窓から墜落死。
傷心した子爵は暖炉へ身を投じて・・・
その後の終盤は出鱈目の極致。
面白いと言えば言えなくもないが、やっぱりまだるっこしいので笑えない。
エンディングの出鱈目さ特筆すべきかもしれないけど。
『悪魔のはらわた』『ロッキー・ホラー・ショー』のオリヴェイラ版といったところかしらん。
見所もあるけど、お薦めし難い一編。
お楽しみはこれからだ、恋は二度目から
冒頭から心奪われる、スタンダードサイズの画面のなか、奥行き、ライティング、とにかく緻密で美麗。
オペラと聞いていたら、ほんとうに全部セリフが歌なのだ。
声や表情を味わいながら、やがてこのドラマは、
恋の鞘当て、というまことシンプル、古典であり、
あまり考えずに流れに任せて観ていたら、
!!!!!
あえて何も語るまい。
観た人同士で秘密を共有できる作品。
ミュージカルみたいに、2回目からがもっと楽しめそうです。
展開がわかっているだけに、あの場面を想像するだけで、笑いが止まらない。
見終わってから、始まってしまう、お楽しみ。
オリヴェイラ、初体験でしたが、ポルトガル、やっぱりラテンだね。しかめっつら不要。やわらかい。
⚠️注意 サンダーボルツ、コナンくらいしか映画観てなーい、そんな方にはオススメできません!!!
悲劇の夜、喜劇の昼
1988年。マノエル・ド・オリベイラ監督。美しい貴族の女性マルガリータはある舞踏会で評判の美男子である子爵と相思相愛であることを確認。一気に結婚へと進むが、初夜の床で思いもかけない告白をされて衝撃を受け、、、という話。セリフはすべて歌、語り部の舞台回しとヴァイオリン弾きがそのままでてきて、オペラであることを表明しながら進む。
ヨーロッパ系の言語圏では、ポルトガル語の原題が「人食い人種」のことだとなんとなくわかるだろうから、子爵こそが人食い人種ではないかという疑いで見進めてどんでん返しを食らうのだろう。しかし、そうでない言語圏では、物語が明らかになる最後にならなければ人食いの主題は明示的には出てこないので、人間ではない感じがする子爵はアンデッド(ゾンビ的な)ではないかと疑いながら見るのではないか。それでもどんでん返しではあるのだが。しかしすごいのは子爵の正体だけではない。
まず、前半、謎の悩みを抱えた男と令嬢との恋愛の重々しい描き方がすごい。周囲が浮かれて踊っているだけに、二人だけに重力があるかのよう。しかも多様な遠近法を駆使した描き方が美しいのだ。悩みの正体がわからいので謎はどんどん深まっていくのだが、それが人間的な苦悩とでもいうもののように見えてくるのもすごい。前半シーンがすべて夜というのも、悲劇的な雰囲気を盛り上げている。そして謎の正体が判明すると同時に悲劇的なクライマックスとなるのだが、その後、令嬢の父と兄たちが前面に出てくると、話は一転して喜劇的に。確かに悲劇が起きたはずなのに、金に目がくらんだ彼らが人間性を失っていく様子は文字通り動物として描かれるし、楽屋落ち的に死んだはずの人間も生き返って踊り出す。物語のフィクション性をことさら強調したおふざけな終わり方。これぞカーニバル。そして、これらの後半シーンはすべて朝の光の下で進行している。悲劇の夜、喜劇の朝。
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