雨にゆれる女のレビュー・感想・評価
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大野いとの暗いオーラに引き込まれる
「愛と誠」は、全体にコミカルな演出が目立つミュージカル仕立ての娯楽作だったが、裏番長役の大野いとが放つネガティブなオーラは異彩を放っていた。暗い影をまとった昭和の薄幸な女、とでもいうべき希少種のようなキャラクターがよく似合う。そんな彼女が本作でも、秘めた過去を背負う理美の暗い情念を見事に体現している。
初主演の青木崇高は、杉野希妃監督の最新作「雪女」では実直なきこりを演じるなど、幅広い役柄をこなす俳優に成長した。今後も重要な役での起用が増えるのではないか。
これが長編映画監督デビュー作で、脚本も兼ねた音楽家の半野喜弘は、ロジックよりも感覚を優先してストーリーを描くタイプのように感じた。映像と音楽を高度に融合させた表現を、ぜひ極めていってほしい。
【今作は、何処にも行き場のない男女の邂逅と、関係性の変遷と最期を描いたアーティスティックな作品である。】
■本名を隠し、飯田健次(青木崇高)としてひっそりと町の鋳造工場で生きる男。
人との関わりを避けて生きる彼の過去を知る者は誰もいなかった。
ある夜、仕事場の同僚下田(岡山天音)がひとりの女性、理美(大野いと)を”刑務所に入っている間頼む”と言い預けてくる。
健次はしぶしぶ彼女を受け入れるが、それ以降、彼と理美の関係性は変遷して行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ミュージシャン・半野喜弘の映画監督デビュー作だそうで、成程アーティスティックな作りである。
デザイナーなどで、映画を初めて作る人の作品と似た匂いがする。
・飯田健次が、本名を隠し世捨て人の様に生きる理由は後半に描かれる。そして、女が理美という名を語っていた理由も明かされる。
男が殺した男は、女の兄で自分の姉、”理美”と入水自殺をしながら、自分だけ生き残っただったのである。
<だが、女は男を抱きながら刃を背中に当てるも、殺せない。
そして、男は姉が死んだ海で、刃を自らの腹に突き立てて息絶えるのである。
今作は、何処にも行き場のない男女の邂逅と、関係性の変遷と最期を描いたアーティスティックな作品である。>
■半野喜弘監督作では、次作「パラダイス・ネクスト」を映画館で観たなあ・・。
どこか惜しい作品
初監督作にしては完成度は高いベタなメロドラマ
音楽畑出身の半野監督初作品。
まずは開始早々から初監督とは思えない映像センスの良さには驚きを感じました。
音楽は案の定言う事無しです。
自分の身の上をあまり語りがらない主人公役に青木崇高。
主人公の仕事仲間に無理矢理押し付けられた女役に大野いと。
探られたくない男と探りたい女。
自分のスタンスに入り込まれ、そんなに女に居心地が良くなっていったのか、心情的に変わっていく主人公。
話の展開がスピーディ過ぎる所もある為、2人の距離の縮まり方等に少し余裕を持たせて頂きたかった所もある。(時間が時間だけにしょうがないか?)
また、秘密も何分の一の確率だよと言いたい所もある。昼のメロドラマ風だ。
(逆に女が男を事前に分かってて近づいた設定なら良かったかも)
人物相関図が良かっただけに脚本が良ければなぁと思う作品。
良い脚本に出会えればこの監督の才能が開花されるかも?と期待出来る作品です。
監督、次回作期待してます。
傷
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