劇場公開日 2016年4月9日

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「面白がらせてくれる。ただそれだけの幸福。」モヒカン故郷に帰る エイブルさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5面白がらせてくれる。ただそれだけの幸福。

2016年4月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

 期待させるような演出の狙いがつけられて、ならば、とこちらも鼻息荒く身構えて、観ている最中も、「鑑賞」や「批評」そういった風情で、思うのは感想ではなく、話の筋やカメラワークなどの演出に注文つけたい、闘い挑みたい、そうした力みのある、客とぶつかり合う、いわゆるアート作品も、十に一つたまにならあってもいいが、近頃の邦画にはやけにそういうものが多く、かつ、観てしまった自分を呪うハメになる駄作ばかり、最近やけに多い気がしていて、根本的に映画自体を忌避しようとしていた矢先、ギリギリこの作品と出会えて、よかった……。
 本作品は、狙い定めるにも、力み、スケベ心がない。面白がらせてくれることだけを、単刀でもって、シンプルにやってくれていて、気配り行き届きつつも、自律が保たれ、清々しい。幸福な私は、爽やかな笑い涙を流した。
映画館を出ながら、映画っていいなあ、と、またシンプルに思った。沖田修一に感謝。
 超傑作「滝を見に行く」も必見。しかし本作は最高傑作では?

エイブル