64 ロクヨン 後編のレビュー・感想・評価
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【前後編で4時間を飽きることなく一気に見せる重厚な作品を構築した瀬々敬久監督の力量に敬服した作品】
瀬々敬久監督描く重厚なサスペンスフルな邦画の後編。
映画館でないと感じられないカタルシスを体験できたことに感謝。(前編に引き続き)と当時の感想メモにあるが、今記憶を蘇らせてもその思いは強い。
今作では、犯人が明らかになるが、観るべき点はその他にも多々あり。
個人的には、娘(三上あゆみ:芳根京子)が失踪状態にある三上(佐藤浩一)と幼き娘を理不尽に殺害された雨宮(永瀬正敏)が初めて対峙する場面が印象的であった。
又、事件当時あるミスをして、それ以来引き籠っている元ロクヨン自宅班の日吉(窪田正孝)とその母雅恵(烏丸せつこ)の姿や、
只一人、犯人の声を直接聴いた雨宮が、公衆電話から14年間休むことなく電話を掛け続け、漸く犯人の声(と、思われる男)の声を聴いた際の公衆電話ボックス内で崩れ落ちる姿と表情は鑑賞以来、3年半が経っても未だに覚えている程、インパクトのある場面及び役者さん達の渾身の演技であった。
<これ程多くの実力派俳優が集結し、複雑な人間関係をサスペンスフルに描く邦画は今後上映されることはないのではないかと思った程、見応えの有る前後編作であった>
<2016年6月11日 劇場にて鑑賞>
被害者遺族父親の執念のお話
被害者遺族父親の執念のお話
前編同様重厚な雰囲気なまま一気に結末へ流れる様は迫力もあった。しかし特に終盤は無駄な演出とも思われる蛇足気味な付け足しのようで間延びした感じで退屈だったかな。根本となる殺害の動機もしくはきっかけみたいなものも明らかにされずモヤモヤしたまま。残念。
重厚なストーリー展開の割に真犯人がしょぼい
1人の浅はかな犯罪が、大なり小なり関わった人達の人生を狂わしていく様はリアルで心苦しかった。
微かに残った良心で不幸の連鎖を押しとどめる事ができて少し救われた思いだ。
この映画を企画前の段階に引きずり戻す! って、できたらいいなあ。
永瀬氏と緒形氏には賞をあげたいほど、震える演技を見せてくれたけれど。
あれ? 何故か、ドキドキハラハラしない…
前編と変わらず、役者の演技は良い。だのに何故???( ゚Д゚)
サスペンスと言うより人間ドラマ。
それはそれで堪能できるはずなのに…なんか違う…。響いてこない('_')。
なんでこんな映画に…。責任者出てこ~い!!!
(原作未読。TVドラマ未鑑賞。なので映画だけの評価)
前編を鑑賞して「久々に”映画”を見た手ごたえ。満足」と絶賛させていただいた。
けれど、後編は2時間ドラマになっちゃった(´;ω;`)ウゥゥ。
前編でも、説明が足りないシーンもあるし、反対にちょっと間延びした感があるシーンもあった。けれど、全体的にはぐいぐい押してくるようなショットの連続だったのに、
後編はものすごく間延びした感じ。どうでもいいことが手厚く描かれ、私が描いてほしい心理状態はお座なり…。なんか、のびてふやけた饂飩のよう…ふにゃふにゃ…。
緒形氏が、永瀬氏が、佐藤氏が渾身の演技をしているにも関わらず…。
64の事件と、今起こっている事件ともっとフーガのようにシンクロしてもいいのに。その部分を表現する演出が弱い。松岡の言葉が活きていない。言葉だけでシーンとしては流れちゃった…。
もっと手に汗握る緊張感があっていいはずなのに、人間ドラマの緊迫感もない。三上の感情に流された振る舞いで、ヒーロー物?という展開に興ざめする。
特に、声高に言いたいのはあの次女のくだり必要だった?
映画の総てをぶち壊すエピソード。人情物をやっているのに、子どものトラウマは気にしない?子どもを使って、”泣き”を取ろうだなんて。原作にない、改悪したエピソードと聞く。TV系映画の浅はかさを露呈。
それでも、緒形氏がある部屋でぽつねんと背中丸めて座っているショット。その佇まいでいろいろなものを語る演技。それには胸の奥底が慟哭したくなるほど揺さぶられた。
でも、その余韻に浸る間もなく、どうでもいい感傷的なシーンがこれでもかと繰り広げられる。
監督はこういうのを人間ドラマと思っているのか?
犯人が過去に行ったある行為に対して、何故やったのか、わからないというシーン。
犯人がそのように言う心情を丁寧に綴っていたらさぞかし見応えあるものになったと思うのに…。演じる方があれだけの演技を見せてくれているのだし。
タイムマシンに乗って”あの”時に戻ったら、きっと自分を止めていただろう。なんでやっちまったのか、自失茫然。今の自分からは、あの時の自分が、自分自身が一番わからない。視野狭窄。でも、今の家族を守るためにも、家族から軽蔑されないためにも、捕まるわけにはいかない。「今の生活を守らなければ」そんな狂気と後悔。役者の演技はそういう風に語りかけてくれるけど、演出があまりにも唐突で「はあ?」という感じにしか見えないのが口惜しい。編集のせい?
だのに、その後につづく人情物のような展開…。こっちは語りすぎ。
どんと焼のシーンも冗長。三上と雨宮の会釈のシーンだけでも伝わるものはあると思うけどなあ。永瀬氏と佐藤氏と夏川さんの演技なら。
さらに醜悪なのが、荒木田と松岡の場面。爺さんの茶呑み話のようだった。荒木田がここでも憎々しげにしてくれたら違う印象なのに…。ここも奥田氏の目の演技だけのワンショットでも見せられると思うけどなあ。
そう、前編で悪役を演じきった方々の存在感も薄い。
キャリア組とそれ以外の人々との確執、刑事部と警務部の確執、広報室と記者達の確執。
前編では、誰が味方で誰が敵?と言う中で育まれる信頼感が温かかったのに、後編では茶番劇みたいなシーンで終わり。柄本氏はよかったけど、信頼感を感じる場面にはならなかった。広報部の面々は置いてけぼり…。
代わりに本社の記者たちがぐいぐい攻める。
本社と支社の軋轢を表現したのだろうけれど…。
ま、組織なんてあんなもんだ。とはいえ、前編に比べて雑。
マスコミも相変わらずがなりたてるだけ。足で稼いでいる姿で警察とのバトルを見せてほしかった。餌待っている雛鳥か?
それでも、上述の緒形氏のように、役者の演技はいい。
三浦氏演じる捜査一課長松岡、役徳。カッコ良かったでんなあ。あんな上司がいたら一生ついていく。
仲村氏と窪田氏は、あの程度の出番じゃかわいそう。
仲村氏演じる調査官ニ渡「俺なりに戦っているんだ」いや、台詞で言われても…。場面で見せてほしかったなあ。
窪田氏演じる日吉。一場面で魅せきるけれど、あれだけの場面って勿体なさすぎ。
柄本氏演じる捜査二課長落合。
前編で描かれていた内部の確執。後編のあれだけではなんだかわからない。捜査二課長がキャリア組で”使えない奴”の象徴として出ているらしいのだが、課が違うのだから事件についてわかっていないの当然だし。そもそも課が違う課長が出てこざるを得なかった過程が描かれていないから映画を見ている私も狐につままれたよう。鑑賞後に振り返れば、警察の内部事情ねとは思うものの…。
それでも、落合だけを見れば、いやあ、頑張った。品の良い世間知らずの若者なりに、根性見せてくれた。座布団10枚!柄本氏って、癖の強い役とか下町から這い上がるような役のイメージだったから、こんなキャリア組が新鮮だった。後編でのMVPの一人。
佐藤氏演じる三上、永瀬氏演じる雨宮、緒形氏演じる目崎。
もうこの三人だけにフィーチャーしてもよかったんじゃないかと思うほどの演技を見せつける。もっとこの部分だけに絞ったらもっと観応え有ったと思う。
特に、永瀬氏と緒形氏は、あれだけの部分でも、受賞させたいくらいに鳥肌ものの演技をしている。なのに、脚本と演出・編集が殺しちゃっている(´;ω;`)ウゥゥ。
他にも夏川さん、烏丸さん、女性陣もいい。
これだけの役者を集めたのに、活かし切れていない。
何がしたかったのか。
監督が思う人間ドラマと私が思う人間ドラマが違うのかもしれない。
でも、前編では魅せられた。
なのに、後編では人物が描かれていない。心理状態が描かれていない。
刑事ものやヒーロー物でよく出てくるようなわかり易い言葉を主人公が喚き散らせば、人間ドラマになると思っているのだろうか?
制作陣は、この原作のどこに惚れて、どこを描きたくて、この映画を作ることにしたのだろう?
原作者の反対を押し切ってまで、描きたかったのは何なんだ。
後編だけをTV特番で見たら「おもしろかった」になるのだろうが、
前編の良さに、
誇大広告に、
期待度UPして見ただけに、がっかり。
「映画史に残る前後編2部作の感動巨編」といただいたフライヤーにあるけれど、
私にとっては「映画史に残る前後編2部作の落差」だな。
監督と脚本には☆なしだけど、役者がすこぶるいいので☆2。
こんな終わり方か…
前編後編となってたので、後編ではさぞかし凄い結末が用意されてるのかと思いきや、なんだか分かったような分からないような…
疑問が残ったまま終わってしまった…
まぁ、ちょっと期待し過ぎたかな?
それにしても、緒形直人の目はヤバかったなぁ~
ドラマ版に軍配
Amazonプライムで無料で見れるようになったんで、前編後編続けて見ました。
ドラマ版も見てましたが、ピエール瀧よりやっぱり佐藤浩市の方がええわーと、映画版の方に軍配をあげかけましたが、後編で逆転。
佐藤浩市に活躍させるためにラストを改変したのか??広報官、でしゃばりすぎじゃない?窪田正孝くんが出てるの知らなかったから、前編では思わぬ拾いもんしたって気分だったけど、後編で回収しきれず。窪田くんの無駄遣いだったな。しかも、犯人早々にわかっちゃってるし(- -; ) 最後の最後に真相がわかるドラマ版の方が秀逸だったな。
ラストは原作と違うか
原作を読んだのは発売当時なので、結構時間が経ち、記憶が曖昧で確信はないが、このラストは原作とはちょっと違う気がする。主人公佐藤浩市を盛り立てるためのラストとも思えるが。
何れにしても、最愛の子供の命を奪われた親の哀しい思いと執念を見た。また、『64』に翻弄された人達のドラマも見所。
自分は原作を読んでいるので、粗筋は理解の上鑑賞したが、原作を知らない人が鑑賞した場合の衝撃度は相当なものだろうと推察する。
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