「不完全燃焼な終わり方。整理つかず。」64 ロクヨン 後編 れいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
不完全燃焼な終わり方。整理つかず。
前にちょっと見た事あったけど、後編の後半をたぶん見ていなかった。
前にみた記憶だと、雨宮と幸田の共謀で目崎を同じ思いにさせるため誘拐し、最後に広場で雨宮と対峙し、目崎が捕まって終わりみたいなイメージで覚えていた。
とんだ勘違いで、目崎は事情聴取を受けるが否認し、警察は腰抜けでなんと釈放してしまう。ここは、本当においおいまじかよと思いましたよ。信じられない。
そして、佐藤浩市がなぜ釈放したのかと抗議すると、もうあの事件は終わりみたいな事を言い出す警察の偉いやつ(奥田瑛二)の言葉に絶句。
その後の展開
佐藤浩市が、電話ボックスから、何を思ったかふいに目崎に電話してみたことから、小さい娘が行方をくらましていることを知る。雨宮の自宅裏??に行くと目崎の娘が居て、お父さんは悪いことしたの?と佐藤浩市に聞く。
佐藤浩市は、目崎に電話して、娘は、小さな棺の中にいると言うと、目崎は64年に自分が幼女を殺害した現場と同じ場所に行き、車のトランクを開けようとする。
待ち伏せた佐藤浩市と対峙。
取っ組み合いになる。
なぜ小さな棺がこの場所とわかった?
佐藤浩市が問いただす。
とうとう自白する。
このシーンは壮絶だった。
警察も目崎を追跡してきて再び、取り押さえる。佐藤浩市も暴行で連行。
そして一部始終を娘は見ていた。
悲劇である。
娘は泣き叫ぶ。来るなと叫ぶ目崎。
その後、あいまいな描写が進み、目崎が
自白をしっかりしたのか、証拠も揃って逮捕されたのかよくわからない。
そこらあたりの曖昧さが不完全燃焼で不満である。普通に考えて娘にまで目撃されてなお、しらを切るとは考えられないんだが、しっかり目崎の逮捕が見たかった。
しかし意外だった。幸田が雨宮と共謀するとこまでは予想できたが、成り行きとはいえ、佐藤浩市が、誘拐のようなかたちで、脅し、自ら、目崎を自白させるとは。
しかし佐藤浩市がやらなければ、犯人逮捕にならなかっただろう。そういう流れだ。本当にここに出てくる警察がダメダメなんである。
佐藤浩市は自分が一番辛さがわかるはずなのに、自分は目崎の妻や娘を傷つけてしまったと話すシーンがあるんだが、どこまでもいい人すぎる。
最後に、どんどん焼きのお祭りで、雨宮と佐藤浩市が再会。雨宮は明日に出頭しますと言う。まあしかし、雨宮と幸田は誘拐の偽装をして、二千万円を燃やさせたくらいだ。誰も殺してない。たいした罪じゃないだろ。
一時、雨宮は幼女を誘拐したが、自分の娘を思い出し、泣きながら家に返した。そうだ。雨宮は、自分のされて、地獄を見たそんな哀しみを、犯人の娘とはいえ、何の罪もない娘にすることなどできないのだ。
目崎は雨宮の娘を殺したが、なぜ殺す必要があっただろうか。佐藤浩市が聞くと、目崎はなぜ殺したかなんてわからない!と言っていたが納得できないよ。
あと捜査の車のなかで、娘がいない時間がどれだけ辛いものなのか、わからないのか!と佐藤浩市が叫ぶシーンがあり印象的だった。
あと、前後するが、永瀬正敏が電話帳をすべてかけていき、声を探し続けたその思いと執念、年月は壮絶すきる。永瀬正敏はいい演技をしていた。
誘拐殺人、この犯罪は本当に許せない。
そんな苦しみを味わった被害者を救おうともせず、警察組織の失態の隠蔽しか考えていない警察は、どうしょうもないなと思ってしまう、残念ながら、そんな映画になります。しかし警察でも政治家でも企業でも不正や隠蔽などはつきもので、正義なんてものはなかなか通用しない世の中であることはリアルな事実ではないのかなと。
いろいろな思いが整理つかない。
佐藤浩市はいい演技した。
それは間違いない。
他の人のレビューに佐藤浩市が暴走だとか広報官の仕事でないとかあるんだけど、僕には意外でもあったが、警察のあの捜査みたら、映画の成り行き上それは必然だろうという気がしたけれど。そうじゃなきゃ気持ちが収まらない。
まあ長編前後作で大作ではありますよ。
もう少し評価高くていいと思う。