劇場公開日 2016年6月11日

  • 予告編を見る

「前編を見終わっての期待は上回れずも、上手くまとめた方では」64 ロクヨン 後編 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0前編を見終わっての期待は上回れずも、上手くまとめた方では

2016年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

前編が傑作の香り漂わす作品だったので、後編を心待ちにしていました。
原作未読ドラマ版未見なこともあって、結末は全く予想が付きませんでしたから、一体どうなるのか、前編ではロクヨン事件の解明へは思いのほか進展してませんでしたし、後編はどう結末へ向かって推移していくのか、ドキドキしながら見させていただきましたが、まあ見終わってみると、二部作物によくあるパターンの前編での期待は超えられずな作品になってしまった感は否めずだったかなぁ。
ただそれでも上手くまとめたとは思いましたけどね、他の二部作物よりは高いレベルを保ちつつ何とかまとめた印象でしょうか。

とは言え、3時間ぐらいの長編になっても、まあ一つの作品にまとめることは間違いなく出来たはずでしたよね。
そこはテレビ局絡み映画のアレがチラホラ見え隠れ(苦笑)
もう記者との対立構造は前編でお腹一杯なんで、長々やらずこの辺で勘弁してくれと思った方は私だけではないでしょう。
リアルがどうかは知りませんが、あれでは隠蔽体質の警察にむしろ同情してしまいます、それと柄本佑の二課長も何かありえなさ過ぎて冷める・・・。
どうせ二部作ありきなら、そこ削ってもっと三上の娘の話を盛り込むとかしてもらった方が、より感情移入できた気がしました。

ただ肝心のロクヨン事件、そして新たなる誘拐事件、ほぼ同時進行で解明へと向かったサスペンスフルな展開に関しては、一定の見応えを感じました。
後編から登場の緒形直人の演技・存在感も相まって、前編には足りなかったドキドキ感を十分味合わせてもらった気がしました。
疑問だった部分がだんだん明らかになっていくスッキリ感も得られましたし、クライマックスの川でのシーンさえもう少し納得できるものであれば、十分評価に値する内容だったと思うのですが、アレはちょっと勿体無かったなぁ・・・。

しかしそれぞれの父親の、娘への想い、その辺の描き方に関しては、本当にグッと来るものがありましたね。
娘がいなくなるとはどう言うことなのか、どれだけ辛いことなのか、永瀬正敏の鬼気迫る演技、あの執念は、物凄く心に伝わってくるものがありました。
ロクヨン事件から止まっていた時間が動き出した終盤の展開は、どこか見る側も解放された気分になったようで、少しホッとさせられました。
まあ不満な点も多々見受けられはしましたけど、見て損のない二部作ではあったと思いましたよ。

スペランカー