「読み間違う事なかれ」64 ロクヨン 後編 コバヤシちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
読み間違う事なかれ
期待の後編。
この作品はサスペンスでは無く、子を思う家族の壮絶なる思い、刑事が、いや警察官が根本に持っているはずの事件に対する正義感といった安っぽい言葉では言い表せない執着心、それらが64という事件を動かして行くといった上質人間ドラマである。
事件の概要だけを追って展開だけに捉われているとそこを見失う。
無念、絶望、失望、そして執念、それらが自分の愛した者に集約されて、あの当時から時が止まったままの雨宮氏の行動を思った時、涙が止まらなかった。
そしてそれぞれの64が結末を迎えた時、事件は携わった人間全てを不幸にした事を改めて思い知らされる。
俳優陣の底力をたっぷりと堪能できる、昨今のペラペラな邦画作品とは完全に一線を記した重厚な日本映画。
作り手側の映画に対する概念的なものが伝わって来る作品だと自分は感じた。
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