「俺がそんな事知るか、って言ったらダメ」64 ロクヨン 後編 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
俺がそんな事知るか、って言ったらダメ
「ロクヨン -後編-」見ました。
前編が今年最高クラスに楽しかったので期待していましたが、正直言って微妙でした。結末に向かう道程も納得できなきゃ、結末自体も全く納得できませんでした。
まず作りとして、前編は隅の隅まで役者全員輝いてました。佐藤浩一や永瀬正敏はもちろん、脇の窪田正孝や筒井道隆、鶴田真由などの渾身の演技によってこちらは涙をポロポロと流してしまいました。演技やセリフどうこうではなく、言葉には表しにくい熱意のようなものを感じることができた。後編に関しては編集が悪いのか、全くグッと来ませんよね。てか佐藤浩一と永瀬正敏の二人芝居みたいな展開になってるからしょうがないけど、ここはガッカリですよね。なんか話を焦って進めてる感じがしました。もっと丁寧に描いて欲しかったです。
そして一番納得出来なかったのは、緒形直人がなぜショウ子ちゃんを殺したのかという部分の片付け方です。緒形直人扮する犯人が「そんなもん俺が知るか」って本当に思ってたのかもしれないけど、お前がそれを言ったら誰も分からないじゃん。しかもこっちは原作読んでないし謎が深まるばかりですよ。ガッカリ。だって犯人の目的は借金の返済なワケだから、全く殺す意味はないし、何と言っても子を持つ親ですからね。マジで意味が分からない。
佐藤浩一の娘の件もよく分からないし、犯人を昭和64年に引きずり戻せたのかも分かんないよね。多分引きずり戻せなかったと思うよ。だってただ川で殴り合ってただけだから。
分かりました。傑作だった前編に対しての、今作における微妙な感じ。恐らく、我々観客は永瀬正敏なんですよ。我々は前編に取り残されてるんです。そう考えれば納得できますよ。
文句ばかりでしたけど、所々でやっぱりいいなと思うところもありました。記者クラブ連中の憎たらしさとか、ど安定窪田正孝のワンカットで魅せる存在感、奥田瑛二のヤバいヤツ感。
でもそれでも許せません。