「最後まで緊張感のある出来映え」64 ロクヨン 後編 とみしゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
最後まで緊張感のある出来映え
原作は未読だが、原作者の横山秀夫&主演の佐藤浩市への信頼感があり、迷わず前後編を観た。
期待に違わぬ出来映えだった。
年を越して、1ヶ月も経たぬ間に終わってしまった昭和64年。
天皇の崩御、元号の変更という、日本にとっての大事が進行していく中で起きた、少女の誘拐殺人事件。
犯人が逮捕されぬまま、時効まであと1年という時期に起きた、数々の出来事。
衝撃の店外で終わった前編に続く後編。
通称「ロクヨン」の、あの忌まわしき事件を模倣したと思われる、女子誘拐事件。
犯人の意図は何か?
県警の広報官・三上を演じた佐藤浩市が、まさに鬼気迫る演技を見せる。
自らも娘が失踪し、刑事としても「ロクヨン」の犯人を捕らえられなかったことを悔やみ、広報官として警察組織と報道機関との板挟みに苦しむ。
「ロクヨン」で愛娘を失い、妻にも先立たれた男・雨宮を演じた永瀬正敏も、素晴らしい演技だった。
すべてを失ってもなお、日常を生き続ける男。
彼は何を思い、生きてきたのか。
ラストに明かされる真相には、本当に驚いた。
本作に登場する人々はみな、何かに苦しみ、自分を傷つけ、周りを傷つけながら生きている。
後悔、自責、怒り、悲しみ…
それでもなお、人は生きる。
エンドロールに流れる主題歌、小田和正『風は止んだ』が心にしみる。
いい映画観たなぁ。
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