「期待外れからの思いがけない大感動物語」ラ・ラ・ランド ヒレさんの映画レビュー(感想・評価)
期待外れからの思いがけない大感動物語
後半までとてもくだらなかったです。これがアカデミー賞最多?ハリウッドって終わってるな。最後まで見るのがかなり苦痛でした。
この時はまさか見終わって感動で号泣するなんて思ってませんでした。
くだらないと思った理由ですが、まずミアが女優になる夢を叶えるため、引き立ててくれる男性に出会おうと軽薄にパーティーに行くところ等、ミアは安くてくだらない女だと思った。セブも良い歳をしてクライアントの需要より"自分の表現"にこだわり、仕事が出来ずお金も稼げないダメ男。それでいて若い美人(ミア)に話しかけられてもそっけない。一体この映画を作った連中は何を見せたいのか?中年男の夢小説を見せられているようでとてもイライラした。
誰がセブみたいな金も地位も若くもなく、性格も悪い男を愛するんだ?特にミアのような野心のある女性が愛するわけないだろう、と。人間に対する解像度が低過ぎると。
風向きが変わったのはセブが「優越感のために不遇の俺と付き合ってるんだろ」とミアに言った時だった。お、分かってらっしゃったのね、ここで一気に映画が寄り添ってきた。
5年後、2人は別々の道を歩き偶然ジャズバーで再開
そこからの怒涛の演出。
セブが悲しいメロディを奏でると2人が出会ったシーンに戻る。
セブが雇い主のリクエストを無視して自分のメロディを奏でたあの時、それを見ていたミアの表情のシーンはとても印象的だった。あの表情、ミアはメロディに込められたセブそのものを理解し惚れていたのだ。
だれも認めてくれない不遇の自分を分かってくれたミアに素直に応えれば良かったのだ。自分が音楽に込めた心を信じれば良かったのだ。それが出来ていたら今君の隣に座っていたのは僕だったのに。
ミアは再度セブがメロディに込めた繊細な思いを理解した。あの時のように。
2人の本当の関係はずっと美しい景色として表現されていた。
私が前半に抱いた感想は 全て逆手に取られ、伏線として回収されて、映画のメッセージを際立たせる装置になっていた。これはやられた。号泣しました。
芸術に対するリスペクト、人と人との愛、自分自身を信じる気持ち等肯定的なメッセージが伝わりました。
素晴らしいのは、それが映像表現として完璧に表されていたこと。
なるほど これは最高の評価をするべき映画だと思いました。