リグレッションのレビュー・感想・評価
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追う立場のはずが追い詰められる不条理
アレハンドロ・アメナーバル監督の過去作では「アザーズ」を思わせるゴシックホラー風味の演出で、じわじわと恐怖をあおってくる。ただし本作、一筋縄ではいかない。「アザーズ」のような大仕掛けはないものの、事件を追う刑事と同様、観客も思わぬ方向へと導かれていく。
刑事役のイーサン・ホークは、追う立場のはずが精神的に追い詰められていく緊迫感と焦燥感を的確に表現。エマ・ワトソンは珍しくダークな側面を感じさせる役どころにチャレンジしている。
アメリカの地方のコミュニティーが抱える闇という点では、ダニエル・デイ=ルイスが主演した「るつぼ」を想起させる。ただし本作のベースになった出来事は80~90年台という。ごく最近までこんな騒動が起きていたということにも驚かされる。
悪魔的社会派サスペンス
悪魔信仰とは、まず神を信仰するところから始まる。主にキリスト教でのことだけど、神が存在しなければ悪魔の存在は成り立たないので悪魔信仰の根底には普通の信仰心があるのだ。
言い換えれば、神を信じていれば自然と悪魔の存在も信じていることになる。
アメリカの40%くらいの学校では進化論や地球が球形なことや、公転していることを教えない。聖書の内容と異なるからだ。
つまりこれは、かなりの数の人間が悪魔の存在を「本気で」信じているということだ。
神への信仰よりも科学信仰の方が圧倒的に強い日本人には理解し難いかもしれないけれど、冗談でも大袈裟でもなく、科学よりも悪魔を信じている人たちは沢山存在する。
この前提を理解していないと作品の半分も面白くないだろうことがちょっと残念だね。
それで、何がそんなに面白いのかというと、まず、事前情報なしで観ていた場合、物語の終盤に差し掛かるまで、悪魔が登場する場合で、アンジェラ、アンジェラの父、アンジェラの祖母、神父、ドクター、など、怪しい人物が多く、悪魔が登場しない場合でいくつかのパターンがあり、ストーリーのラストを締めくくるパターンの可能性が多いこと。そして悪魔がいるといないの両方をギリギリまで残したこと。
次に、面白いのは、神を信じていないケナー刑事は始め、守りになるからと渡された聖書やロザリオを見向きもしていなかったのに、おかしな夢を見たり、強迫観念にとらわれたりしていくうちに、一時的とはいえ車のバックミラーにロザリオを掛けた。これは神に助けを求める行為だが、彼が神を信じるということは悪魔の存在も信じる事を意味する。
ストーリーと同様に彼もまた悪魔がいるといないの狭間を往き来して翻弄されていたこと。
アンジェラとキスしたことを非難している人がいるが、アンジェラが悪魔である可能性を考慮した場合、とても自然なことなんだよね。悪魔は人を魅了するのだから。
つまり、アンジェラが悪魔かもしれない可能性を示唆する場面だったわけで、「あっ、ヤバいぞ。悪魔の誘惑かもしれない」と思わずに、だだキスしただけだと思ったなら面白く観られるわけがない。
そして最後に、決定的に面白かったのはやはり、少し皮肉の入ったエンディングだろう。
結局、悪魔は登場しないパターンのラストだったけれど、真相が明らかになったあと、信仰心など毛ほども持ち合わせていないであろうアンジェラが、神父の庇護のもと、悪魔的儀式だとか何とか妄言を垂れ流し、それを聞いている人々は「なんてことだ」と悲しみ怖れる。
神を信じる=悪魔を信じる=彼女の妄言を信じる、という構図だね。不可知論者には身の毛もよだつような状況だよ。
一方で、自身の不甲斐なさを正そうと信仰に没頭したアンジェラの父は、その信仰心故に赦しを求めて、してもいない罪をかぶり投獄される。
こんなラスト、面白くないわけない。
タイトルにもなっている退行催眠のことと合わせると、悪魔的サスペンスのフリをしただけの、社会問題を扱った、割と硬派な映画だったことも分かり、それもまた面白い。
だれの思い込み?
悪魔崇拝を題材にしたサスペンス。
田舎の特有の閉鎖的なところを舞台に、
いかにも感がでていてよい。
教会、牧師、ジョージ、アンジェラ、
心理学者、刑事、身近な人物、街中、
聖書、信仰、悪魔崇拝の精神
全てが怪しい。
洗脳あるいはマインドコントロール。
自身の内なる記憶、体験。または夢、空想。
現実と真実。答えはシンプル。
あちこちに伏線が隠されているので、
見終わった後あらためて見直すと面白い。
ちゃんと辻褄が合うようになっていて
脚本が素晴らしい。
悪魔崇拝、都市伝説などという非現実的で
でも実際にこの世に植え付けられている考え。
これは過去のことではなく、現在も陰謀論やフェイクニュース
などに形を変えそこかしこに潜んでいる。
今こそ見てほしい作品。
悪魔崇拝による悪夢
悪魔崇拝と虐待が絡んだ、サスペンス・スリラー。1つの事件が、主人公の刑事をジワジワと締め付け、ミイラ取りがミイラになっていく、恐怖を描いている。
父親による性的な虐待を受けたというアンジェラ(エマ・ワトソン)の訴えを受けて捜査を始めたブルース(イーサン・ホーク)。しかし、捜査をしていく中で、単なる父親の虐待事件に留まらず、黒魔術の組織が蠢いていることに気づいていく。
その事によって、捜査をする立場のブルースが、悪夢にうなされ、精神的に追い込まれていく。そして、次第に悪夢と現実が交錯していく。
エマ・ワトソンが、これまでにないダークな役柄を演じて、ストーリーのキー・キャストとなっている。また、イーサン・ホークは、1人で奔走しながら、孤立感を強め、のめり込む刑事役を務めている。
しかし、途中からアンジェラの役回りが見え隠れする中で、最後が見えて来てしまい、サプライズも無く、それほどの面白さは無く、すっきりしないエンディングだった。
タイトルなし
ラスト結局エマ・ワトソンが悪役で全ては悪魔崇拝儀式とか妄想によるもの。全体の色使い、雨のシーンなどセブンを思わせる進め方だったが、ふわふわしており、引き込まれなかった。やっぱり現実的でないし、何となく結論読めた。
時代背景を知っておくといいかも
虐待した記憶がないのに娘に告発され「娘が言うならその通りなんだろう」という父親。
事件を調べるうち、つけ狙われているように感じる刑事。
謎ばかりで途中までは???という感じです。
そして結末も「んなことある〜〜〜?」って思いました。
これは1980年代にあった悪魔的儀式虐待などの時代背景を知らないと荒唐無稽な話に思えるんじゃないでしょうか?
その時代の空気感が分かっていればあり得る話なんだって理解できたかもしれません。
そういう意味では下調べが必要な映画だと感じました。
退行催眠なんかで捜査を進めるの…?と思ったらそれが物語のキーワード...
退行催眠なんかで捜査を進めるの…?と思ったらそれが物語のキーワードに。
先入観、思い込み、洗脳、そのあたりの人間心理は興味深いけれどとにかく面白くなかった。
あれ?
内容を知らずにエマ・ワトソンとかイーサン・ホークが出ていたので面白いかな〜と観始めたけど、なんだかいまいちだった。
洗脳、人間の思い込み、などがテーマだったのか?
心理的に追い詰められた人が見る幻想?
怖くはないし、気持ち悪くもなかったかな。
エマワトソンの演技もいまいち。
モヤモヤした気持ちになった
デヴィッド・シューリス目当てで鑑賞したところエマ・ワトソンも出演していて、すごくワクワクしていました。
内容自体は、イヤミス、モヤモヤが残るといった感じです
後者のモヤモヤが残るのはこれが実話だからと映画最後に知ったからです。
この残念で可哀想な少女を演じたのがエマ・ワトソンで合っている様にも感じます。
物語の核心部分まではすごく怖かったしたそのような描写も多いサスペンスホラーだと思います。
人間心理の脆さと恐ろしさ
疑心暗鬼,集団ヒステリー,妄想と幻覚,思い込み,そして憎悪。様々な要素が盛り込まれており,単なるサスペンスの枠に収まりきらない重厚な作品に仕上がっていると思う。捜査が進むにつれていろいろな可能性が浮かび上がるので,観る者は物語が進むにつれて右に左に大きく振り回されることになる。最後まで真相は明かされないが,ある種「夢オチ」的な決着の付け方には賛否両論があるかも知れない。
悪魔崇拝問題は実感出来ません。
娘を虐待した罪で服役した父親は、実は虐待した記憶がない。不可解な状況に捜査を行った刑事の物語。
イーサン・ホークとエマ・ワトソン主演のサスペンス映画。1990年代にアメリカで起こった悪魔崇拝問題についてはデビルズ・ノットでも描かれていましたが、日本人の私たちからは信じられない程深刻だったのでしょうか?日本人の私には分かりかねる部分です。
その為か、この映画を鑑賞していても登場人物の感情の動きに腑に落ちないところが多く、映画に入り込めないのを感じてしまい、私的評価は少々厳しくなりました。ま~悪魔崇拝に関わらず、初っ端の父親の行動からして腑に落ちないものだったので、映画自体の問題でもあるのですが。
退行睡眠療法やポリグラフの嘘
父親にレイプされたと訴える娘…。
娘は嘘はつかない…自分がやったんだと思い込む父親…。
退行睡眠療法の中で浮かび上がる、悪魔崇拝教団の影…。
洗脳や思い込みが招く 混乱によって振り回されてしまう刑事の話。
登場人物皆が怪しそうに見える展開なんだろうけど、キャスティングのせいか 早々に事件の中心人物が見えてしまう。
弱々しい者の言うことが正しいと思い込むことが どれだけ危険で恐ろしいか…人間の弱点や愚かさを見せる作品なのかな。
それにしても、イーサン・ホークは良い役者さんだなぁ。
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