「めちゃ急にキレる竹野内豊」人生の約束　三遊亭大ピンチさんの映画レビュー（感想・評価）

「人生の約束」見ました。
昨年から本当に楽しみにしていた作品。渋い竹野内豊のファンということもあるけど、予告編の雰囲気が最高でした。ですが、結論から言いますと普通でした。普通以下かもしれない。

まず今作の石橋冠監督はドラマ出身でこれが映画初監督でしたか。ドラマ出身の影響がモロで、全編演出がドラマっぽい気がしました。曳山のシーンで無意味にスローモーションになったり、無音になったり。あと1番気になったのは、劇中に流れる音楽。これ、作品の雰囲気に合わなすぎますよ。犬神家の一族的と言いますか、サスペンスドラマとかでよく聞くやつです。物語や、その中のやり取りがチープに感じてしまいますよ。

キャストは超豪華です。贅沢使い満載。主演の竹野内豊はドラマ「ビーチボーイズ」のその後を思わせる渋くてイケヅラ。江口洋介の角刈り無精髭＋ジャージも満点。ジャージってのがポイント。良くなかったと思うのは、ビートたけしの只ならぬ存在感が全く話とからみ合わないこと。あと個人的に松坂桃李の、自然だけど個性がない演技が嫌いだけど、今回も漏れなく無個性でしたね。

色々言いましたけど、0点ではないです。セリフの一つ一つもいいし、何よりいい話ですしね。竹野内豊の心情が変化した動機がイマイチ掴み辛いのが残念。掴み辛いというか掴めなかったです。仕事人間が、仕事を失っても全く動じないのには相応の理由が必要。この作品は、”友人の死を乗り越えて...”という感動必至の題材に胡座をかいているとしか思えない。もうちょっと捻りや、劇的な展開が欲しかった。