劇場公開日 2016年1月9日

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「予告とポスターは秀逸なのだが。」人生の約束 TAZAさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5予告とポスターは秀逸なのだが。

2016年1月16日
PCから投稿

映画館で流れてた予告があまりにも素晴らしそうだったので楽しみにしていた本作。が、ヒューマンドラマにも関わらず、肝心の「人間の感情」の辻褄が描けてないと言う、かなり残念な出来だった。音楽も予告は感動巨編みたいな壮大な曲だったのに、いざ本編を見るとどうもサスペンスチック。何考えてんだ?

一番のミスは、何故キーパーソンである「航平」をきちんと描かなかったのか。シルエットや声でしか表現してないのは明らかに大失敗。せっかくの映像作品なのだからきちんとした俳優を置くべきだった。そのせいで背景がすげー分かりにくい。見る側が航平がどういう人か分からないままセリフで説明するもんだから、どんどん陳腐になる。中原にとって「友人であり、一緒に会社を立ち上げた仲間」と言う以外の航平像が何も見えてこないから感情移入出来ないのだ。

特に謎だったのは、航平と瞳の親子関係。娘が「あの人」って言うぐらいだから、おそらく航平はどこかで家族を捨てたんだよね?で、死に際に戻って来たと。なのに、義兄の鉄也が何故航平にあそこまで肩入れするのかも分からない。瞳も何がしたいのかさっぱり分からん。ラストのハグなんて超絶意味不明。何なの?ラブストーリーなの?石橋監督の意図が全く理解出来ない。

実は前半は背景が分かりにくいながらもそれなりに見られたんだよね。でも物語が進む(瞳がフィーチャーされる)につれてどんどん迷走していった感じ。タイトルもちょっとスベッてるしなぁ…。

でも俳優陣はそこそこ頑張ってたと思う。あまり頭が良さそうに見えない竹之内豊のCEO役はやや無理があるんだけど、いつも棒読みのカッコつけ江口洋介は(もうちょい太った方がよりリアルなものの)こういう役ならそんなに違和感なかった。そして小池栄子はいつも通り本当に素晴らしい。尾野真千子と並んで、30代では日本で一番上手い女優だと思う。

石橋監督は、パワーを感じる巧みな表現も節々であるんだけど、同時に実景カットが異様に多かったり、IT企業の描写が一昔前のようで取材不足だったり、殴った後仲直りするくだりだったりと、センスの古さは正直否めなかった。それに輪をかけて脚本と音楽でミスってるのが大きい。情熱は買うけど、トータルバランスの詰めが甘い。惜しい(ポスターと予告はイイんだよ、ホントに…)!

TAZA