クリミナル 2人の記憶を持つ男のレビュー・感想・評価
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『死者の記憶を他者に移すという部分を、観る方がどう受け取るかで面白さがかわる』
ジェリコ(ケビン・コスナー)の心理状態がビルという人格と葛藤しつつ変化していく。フランク博士(トミー・リー・ジョーンズ)の落ち着いた物腰とジェリコに少ないながら的確なアドバイスをしていく。
さらにビルの妻(ガル・ガドット)と幼い娘がどう絡んでいくか、そういったドラマ部分に視点がいくようだ。私はそういう人と人とが絡んで築かれる物語の部分を描いていると観る。
スパイ物では描かれることの無かった「感情」が犯罪者ジェリコの頭に初めて流れ込むってどういうことか?なんて要素が加わる。なぜかダニエル・キイスのSF「アルジャーノンに花束を」を思い出す。犯罪者のジェリコの脳の欠落した「感情」の部分が活性化する過程での葛藤や変化が面白いと感じたわけ。
この作品を観る方はきっと、設定がショボいとか、派手さが無い、何で?とか、中途ハンバだし面白くないって思うかも知れない。だけど私は、ケビン・コスナーとトミー・リー・ジョーンズが今までと違った感じの良いムードを醸し出していると思うし、ガル・ガドットが加わることで色彩感覚が画面に出ていると思う。
映画なので限られた時間内に収めるという宿命があるが、観る方の想像力で、キャラクターの映画では語られていない部分を補えるだけの要素はちゃんと入っていると思う。そこを観る方が膨らませるかどうかは個人差があって分からないけど、今までのスパイ物とは感じが違うことだけは断っておこうと思う。
私としては面白い作品だと思うのだが、観る方の「視点」でどうなるか、それはそれで楽しみ。
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