「ジョンからダニーへ 父から息子へ」Dearダニー 君へのうた 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ジョンからダニーへ 父から息子へ
落ちぶれた大物ミュージシャンがある事をきっかけに自分を見つめ直す…。
まあよくある話だが、実話が基。きっかけというのが、自分の元に届いた伝説的ミュージシャンからの手紙。そのミュージシャンとは…
ジョン・レノン!
新人ミュージシャンがレノンにファンレターを送り、それに応えたレノンの手紙が十数年の時を経て届いたという実話に着想を得た“フィクション”。
名曲『イマジン』も流れるが、レノンのエピソードはきっかけに過ぎず、話自体は主人公の再起。
人気はあるものの、もう新曲は一曲も書いておらず、過去の栄光に。
溺れているのはお酒や薬にも。
そんなダニーの元に届いた、若い頃レノンへ充てたファンレターの返信。
すでにもう初老だが、やり直す。
娘ほどの歳の差の恋人との関係を精算。
ラストライヴに出る。
滞在先のホテルの女性支配人といい関係に。(今回は歳はそれなりに近いとは言え、根っからのプレイボーイ?)
新曲を書く。
でも一番の目的は、疎遠の息子に会う。
自分は好き勝手やって生きてきたからか、息子トムは父親へ対して怒りを通り越して関心すら無い。
…いや、やっぱり怒っている。
身勝手で、今更だけど、トムとその家族に出来る限りの事を。
可愛い孫娘に最高の教育を。
トムも憎むのに疲れ、理想的なハッピーエンドと思いきや…!
トムがまさかの癌…。
トムは家族に癌である事を隠し…。
支えになるダニー。
新曲が完成し、家族や友人を招いての披露。
が、大勢の客を前にすると弱腰になり、また往年の歌を歌い、家族や友人をガッカリさせる。
いざと言う時が弱い。
さらにまたお酒や薬に逃げる。
そこを家族や友人に見られてしまい…。
せっかく掴んだ筈の再起が…。
どうしてもダメ男なのか…?
アル・パチーノがさすがに巧い。シリアス演技というより、ユーモアと哀愁入り交じった妙演。
アネット・ベニング、クリストファー・プラマー、ジェニファー・ガーナーらベテラン&実力派。
中でも、トム役のボビー・カナベイルが好演見せていた。
あの新曲を結局家族や友人たちに披露せずのままなのは残念だが…、
作品自体はハートフルな好編。
歌ってはNG出してばかりのダニーだけど、歌は一曲の間に何度も何度も盛り上がる。
締め括りも良かった。
“トム”。