Dearダニー 君へのうたのレビュー・感想・評価
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掛け合いとダニーの魅力
実話を元にした作品ではあるが、内容は手紙のことよりももっとダニー・コリンズというキャラクターに寄り添ったものだった。
そのダニーを演じたのは名優アル・パチーノ。老いてから一層やさぐれた雰囲気に磨きがかかり、「スカーフェイス」の時の成り上がり感と相まって、最高のキャラクターを構築したと思う。
残念なのはパチーノがロックスターに見えないことと、歌があまり上手ではなかったことだろうか。
ダニーは気が弱いが優しい男。冒頭の若きダニーの表情に未来への不安が表れている。売れないかもしれない不安ではなくて、売れてしまうことへの不安というのが何とも斬新だ。
売れることで今の自分を保てなくなるかもしれない不安。その不安は悲しくも的中し、酒とドラッグに溺れることになる。
気が付けば若い取り巻きにたかられるだけの空虚な生活を送っていた。
そんな時にジョン・レノンからの手紙を手にし、本来のなりたかった自分になろうと決心する。
本作の魅力はダニーのキャラクターと会話の掛け合いにあるだろう。
半分本気で半分ジョークだったり、大真面目にイカれたことを言ったり、ラリっていないときのダニーは本当に憎めない男だ。
そして、周りの人に対する優しさと、時にしつこすぎるほどのひたむきさが花を添える。
ラストは歌で感動を狙ってくると思っていたがそうはならず、少々残念な気持ちもあるが、パチーノの歌があれなこととダニーの魅力は歌以外のところにあることを考えれば最高のエンディングだったともいえる。
「親愛なるダニー」と「やあ、トム」は同じ瞬間なのではないかと思う。
ダニーにその瞬間は遅れてやって来たが、40年後ではなく、今この瞬間に支えてくれる人がいれば道を踏み外すことはない。
あえてここで終わりにしたのだと私は思う
新人の頃にジョン・レノンからもらっていたであろう手紙。それは当時本...
こちらのロックスターは紳士です
ボヘミアン・ラプソディ、ロケット・マンのように、ロックスターの栄光の影の破綻した生活と孤独を扱う映画は多い。
影の精神的生活は凄惨だが、劇中音楽がかっこいいので、楽しく見られる。
さて、こちらは、音楽を聞かせる映画ではないので、アル・パチーノ演じるロックスターのキャラクターが魅力的。
こちらのロックスターは紳士です。
チャーミングで、ユーモアがあって、これだけ人格がしっかりしていれば、家庭生活も幸せにできたのではないのかと思うほど、紳士です。
ある日、元・音楽少年が、ジョン・レノンの直筆の手紙を、40年越しに受け取る。
それはもう、生活の破綻した億万長者ロックスターでなくても、
背筋を正して襟を掻き合わせて、ああ、生活、見直そう、と思うのではないだろうか。
ジョンからの手紙はシンプルなのに味があって、ぐっとくる。
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親愛なるダニー・コリンズ君
金持で有名になることで、
君の音楽は堕落しないだろう
堕落させるのは君自身だよ
君はどう考えるかな、ダニー・コリンズ君
君の若い音楽に忠実であれ
君自身に忠実であれ
電話番号を書いておく
直接話をしよう
力になるよ
ジョンより
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そして、中年ロックスター、ダニー・コリンズ君は、一念発起する。
田舎のホテルに滞在して、人生で一番後悔している人のもとへ向かう。
田舎のホテルの支配人との掛け合いが微笑ましい。
大人同士の交流は距離を保って、こうありたい。
一番、気に入ったシーンは、息子の妻とスターの会話。
スターは、絶縁していた息子の家を突然訪ねる。
息子は激怒して家に向かっている途中。
息子の妻と、息子の家のソファで、捨てた女の息子の帰りを待っている。
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妻:なぜここへ?
スター:生き方を、変えようと思って
妻:遅くない?
スター:遅すぎないことを願っている
妻:トムは理想の夫よ
十二年間で喧嘩は1度だけ
父親に会うのは断固拒否だったわ
スター:その、できれば君が、円滑油になってくれないか
妻:ミスター・コリンズ
この子の親族はあなただけ
夫にも父親を知ってほしい
でも私は夫の行動は止めない
あなた自身が招いたことだもの
恥を知るべきよ
スター:お見事
妻:来た時から練習してた
スター:少なくとも息子はいい妻を持った
妻:ええ、最高の妻だわ
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こういう掛け合いができる人間関係が持てたなら、
それだけで幸福な人生だなあと思う。
最高の妻と夫。
そして、祖父も上品で、お行儀がとても良い。
ロックスターじゃなくて、普通にビジネスマンの億万長者で良かったんじゃないかと思うくらい。
それから、繰り返し呟きたい、お気に入りのセリフもあった。
お客さんに興奮してしまったADHDの娘を落ち着かせる、ご家庭のおまじない。
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一番好きな花は?
バラ
匂いを嗅ぐには?
すぅーーーーーー(深呼吸音)
そのまま息を止めて・・・。
そして大きく一息で吐く。
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緊張するときに使えそう。
一番好きな花の匂いを嗅いで落ち着くなんて、なんて素敵。
気楽にみられて、上品なユーモアが楽しめる良い映画でした。
できれば、かっこいい音楽シーンが一つくらい、あっても良かったかな。
好みを言えば、小さい劇場で、勇気を出して歌えて、べたべたの大団円でも良かったのになあ、と思います。
ジョンからダニーへ 父から息子へ
落ちぶれた大物ミュージシャンがある事をきっかけに自分を見つめ直す…。
まあよくある話だが、実話が基。きっかけというのが、自分の元に届いた伝説的ミュージシャンからの手紙。そのミュージシャンとは…
ジョン・レノン!
新人ミュージシャンがレノンにファンレターを送り、それに応えたレノンの手紙が十数年の時を経て届いたという実話に着想を得た“フィクション”。
名曲『イマジン』も流れるが、レノンのエピソードはきっかけに過ぎず、話自体は主人公の再起。
人気はあるものの、もう新曲は一曲も書いておらず、過去の栄光に。
溺れているのはお酒や薬にも。
そんなダニーの元に届いた、若い頃レノンへ充てたファンレターの返信。
すでにもう初老だが、やり直す。
娘ほどの歳の差の恋人との関係を精算。
ラストライヴに出る。
滞在先のホテルの女性支配人といい関係に。(今回は歳はそれなりに近いとは言え、根っからのプレイボーイ?)
新曲を書く。
でも一番の目的は、疎遠の息子に会う。
自分は好き勝手やって生きてきたからか、息子トムは父親へ対して怒りを通り越して関心すら無い。
…いや、やっぱり怒っている。
身勝手で、今更だけど、トムとその家族に出来る限りの事を。
可愛い孫娘に最高の教育を。
トムも憎むのに疲れ、理想的なハッピーエンドと思いきや…!
トムがまさかの癌…。
トムは家族に癌である事を隠し…。
支えになるダニー。
新曲が完成し、家族や友人を招いての披露。
が、大勢の客を前にすると弱腰になり、また往年の歌を歌い、家族や友人をガッカリさせる。
いざと言う時が弱い。
さらにまたお酒や薬に逃げる。
そこを家族や友人に見られてしまい…。
せっかく掴んだ筈の再起が…。
どうしてもダメ男なのか…?
アル・パチーノがさすがに巧い。シリアス演技というより、ユーモアと哀愁入り交じった妙演。
アネット・ベニング、クリストファー・プラマー、ジェニファー・ガーナーらベテラン&実力派。
中でも、トム役のボビー・カナベイルが好演見せていた。
あの新曲を結局家族や友人たちに披露せずのままなのは残念だが…、
作品自体はハートフルな好編。
歌ってはNG出してばかりのダニーだけど、歌は一曲の間に何度も何度も盛り上がる。
締め括りも良かった。
“トム”。
どの人物の気持ちにも共感してしまいます
渋い俳優たち、見事です!
公開当時、全編ジョン・レノンの歌が流れる、という割には
あまり話題にならなかったような・・・。
とにかく俳優たちがいい!
アル・パチーノはもちろん、クリストファー・プラマーしかり、
でも何と言ってもアネット・ベニングのチャーミングさ!!
話の成り行きは、チョットハリウッド的~・・・な感じもありますが、
幸せな気分になれます。
それにしてもアル・パチーノとアネット・ベニングの掛け合いのオシャレなこと!
こういうシーンってなかなか日本の映画にありませんね~。
アルパチーノを堪能。かっこいいなー。何も心配なく観ていられる。これ...
アルパチーノを堪能。かっこいいなー。何も心配なく観ていられる。これ...
老いた色気
ジョン レノン の歌声、久し振り
少しだけ実話
ジョン・レノンからの手紙
アメリカのロック歌手、ダニー・コリンズ(アル・パチーノ)のもとに、1971年に自分宛てに出されたジョン・レノンからの手紙が、43年後に届く。
荒んだ生活をしていたダニーはこれを機会に人生をやり直そうと考える。
まずは会ったことのない自分の息子を訪ねることに。
ジョン・レノンの曲が効果的に使われており、アル・パチーノとアネット・ベニングの自然な演技が心地いい。
パチーノ新境地
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