「音楽への愛に満ちた、史上最高にハッピーな世界大戦、勃発!」ピッチ・パーフェクト2 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
音楽への愛に満ちた、史上最高にハッピーな世界大戦、勃発!
アカペラを題材にした青春コメディ『ピッチ・パーフェクト』シリーズの第2作。
前作より2年。とある大失態により廃部の危機に瀕した「バーデン・ベラーズ」が、起死回生を図り世界大会に挑戦する様子を描く。
前作から引き続きアナ・ケンドリック、レベル・ウィルソンらが出演。
新キャストとして、新入部員のエミリーを『トゥルー・グリット』『はじまりのうた』のヘイリー・スタインフェルドが演じる。
前作の大ヒットにより制作された続編は、往々にしてつまらなくなるものですが、本作はあの前作と比べても決して見劣りしない作品に仕上がっています!
というより、前作より好きかも。
映画全体に流れるハッピーな感覚が心地良い。
キャストや監督が楽しんで撮影しているんだろうな、というのが画面越しから伝わってくるよう。
前作では製作と出演を担当していたエリザベス・バンクスが、本作では監督まで担当している。
そもそも『ピッチ・パーフェクト』は、原作を読んだエリザベス・バンクスが企画を持ち込んだところから映画化がスタートしたらしいので、相当思い入れがあるのでしょう。
エリザベス・バンクスは本作が初監督とは思えないほど、活きいきとしたキャラクター達をスクリーンに映し出しています。
やはり思い入れがあり、この映画のことを理解しているからこそ、この様な楽しい映画が作れたのでしょう。
大学生という、人生において最も自由な時間を目一杯に生きる「バーデン・ベラーズ」の姿は眩しくもあり、ちょっとだけ懐かしくもあり…
多かれ少なかれ、こんな風に仲間たちとわちゃわちゃやってた時代もあったなぁ…なんて(*´ω`*)
「バーデン・ベラーズ」に残るために3年も留年するクロエとか、卒業しても部活に顔を出し続けデカい顔をするバンパーとか、いつまでも大学と繋がっておきたい気持ちわかるわ〜、という感じで観てました。クロエはちょっとやりすぎだけど💦
実際バンパーみたいな人居ますもんね(^^)
ギャグは前作同様下ネタ全開。でも、何故か上品な感じがするのは彼女達の明るいキャラクターがあってこそなのでしょう。
個人的にあまり下ネタは好きではないですが、このシリーズでは全く嫌な感じはしない。
下ネタ以外のギャグも、人種ネタやLGBTネタ、女性蔑視など危険極まりない。ギリギリなところを攻める姿勢、嫌いじゃないです👍
テンポの良い展開が続くので、2時間の上映時間はあっという間。
新学期から卒業、そして世界大会までの1年を、一本の映画の中に実に上手く纏めたな、と感心しました。
最大のライバルとなるドイツの「DSM」のパフォーマンスは圧巻!
嫌な感じなんだけど何処か憎めないヤツらという、前作の「トレブルメーカーズ」のような立ち位置。
敵キャラも愛らしくて、みんなまとめて好きになれるというのが『ピッチ・パーフェクト』の良いところ。
「バーデン・ベラーズ」のパフォーマンスも、前作からパワーアップ!
ここぞという所にエイミーのオリジナルソングを持ってきたり、前作でバズった「Cups」を歌ったりするところがニクいね!
最後にOGが勢揃い!というのは盛り上がるけど、あれって反則じゃないのか…?
全体的に楽しい映画なんだけど、一つ一つのエピソードが上手く繋がってないなー、と思うところもあり。
ベッカのインターンとか、地下でのリフ・オフとか、キャンプ合宿とか、撮りたいシーンがあるというのはわかるのだが、その撮りたいシーンを繋いだだけという感じで、物語上の必然性を感じないところもままあった。
エミリーとベンジーの恋とか、本当に必要あったかなぁ?
エイミーとバイパーの恋愛は前作からの繋がりを感じて良かったんだけど、エミリーとベンジーは唐突な上に描写が薄すぎて、これなら無い方がスマートだったかも。
あと、前作から2年後の物語にも拘らず全くメンバーチェンジがないというのは…
1人南米の女の子が追加されていたが、他には新入部員が入らなかったの?
最終的にエミリー1人だけになっちゃったけど、これ結局廃部にならない?新歓大丈夫かしら?
1クールのドラマを一本の映画に凝縮した、という印象を受けた作品。
色々なイベントがあって楽しいんだけど、一つ一つのイベントに対してちょっと描写不足だなぁと感じてしまう。
とはいえ、『ピッチ・パーフェクト』は芸術性や深い感動を求めるタイプの作品ではなく、娯楽性に全フリしたようなシリーズであることは明白。
まず観ていて楽しいことが一番大事。
そういった意味で、本作は求めていたものを完璧な形で提供してくれた素晴らしい作品!
ハリウッドのコメディ映画では一番好きな作品かも知れません❤️