黄金のアデーレ 名画の帰還のレビュー・感想・評価
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全てを奪われたこと。取り戻したいのは自分のアイデンティティ。
クリムトの「黄金のアディーレ」をナチスに奪われ、オーストリア政府に取り上げられ、それを取り戻すために不可能とも思える裁判を起こす勇気は、勝つためというより、自分の一族のアイデンティティーを取り戻すためのように感じる。
ユダヤ人だというだけで、財産も家族も全て奪われる。その恐怖は計り知れないものだったと思う。
なんとかアメリカに亡命することができ、戦争も終わり、平和な日常が送れるようになったとしても自分の祖国を奪われ、家族を殺されたその過去の傷は消せなかったんだと思う。
途方も無い裁判と最初は思ったが、よく考えれば、取り上げられたものに対しての権利を主張したかっただけ。そこには、一族と家族の幸せな思い出が詰まっていたのだろう。
これが、事実を元に作られた映画で、実際にその絵は今、アメリカにあることを考えると非常に感慨深い。
戦争はまだ集結していない…。
ユダヤ人がナチスから奪われた金品は10万点。
ほとんどが持ち主の元に戻っていないという事実にショックを受けました。
この黄金のアデーレが、マリアの元に返還されたケースはとても幸運だと思います。
彼女が叔父様の遺言書を提示して美術館に訴えても、美術館側は絵を奪われたくないと必死に抵抗するのです。
なぜそこまで意地になるのでしょうか…?
マリアの正当な訴えが裁判沙汰に発展するという悲しさに、ナチスが負わなければならない責任が山積していることを感じました。
戦争の本当の意味での終結はいつになったら実現するのでしょう…。
裁判で勝つ瞬間は山の頂点じゃなかった。クライマックスはそこじゃない...
裁判で勝つ瞬間は山の頂点じゃなかった。クライマックスはそこじゃない。サイモンが伝えたかったのは、金よりも愛が勝つということなんじゃないかな。
娘が祖国を断つ瞬間、父が最後に1つといって伝えた言葉が印象深い。「remember us」には、娘を思う気持ちというよりは、自分たちの存在意義が失われない事を祈るように聞こえる。そこに人間らしいわがままさがあって好きだった。自分が生きた証というのが欲しいと思うのが我々の性根だ。サイモンは人間味をあえて出すため、「いつでも君の味方だ」などという綺麗言ではなく、旅立つ子への最後のメッセージとして、正気さが伝わるようにしたんだろう。
ライアンがウィーンに行く前と後で、弁護士としての価値観が変わったと言った。その意味が映画が終わってやっとわかった。彼が欲しかったのは、家族を養う給料ではなく、正義と少しの名声だった、のかもしれない。
そして暴力に頼らない、論証によって解決する弁護士のやり取りはとてもスマートだった。
最後の回想シーンは、離れ離れになった家族がやっと1つになれたことを表していたのか。
「私を病院に連れて言った後、あなたはワシントンに飛んで」。それにしてもライアンの妻の歴然とした強さはすごい。
過去との向き合い
最後の実在のマリアの優雅な佇まい。美しくいきたい。
それにしてもナチの行いは多くの悲惨な物語を生み、今もそれが続く。少しずつでも人間が賢くなれルことをねかう。
あーなんてこと、ここにもワインスタインの名前が、、、
過去の記憶
過去の記憶を蘇らせることがいかに重要か。
お金ではない、人のルーツが人との繋がりがどんなに重要かを考えさせてくれた。
実話。
昔からクリムトの絵が好きだった。ただ単に私にとって他の絵画に比べ何と無く分かりやすいような気がしたから。
アメリカヨーロッパオーストリア、ナチスとこんなに関わりのある絵画だったとは。
シンプルなことを難しくいうのではなく。
不当に奪われた自分の家族に所有物を返して欲しい。
それだけの当たり前のことがこんなにも難しく、感動を呼ぶ物語になるなんて。
泣ける、俳優が本当に素晴らしい。
おすすめ!
印象操作
飽和するほどの圧倒的な弁護士数と、
桁違いの金銭賠償が認められる制度を持つことなどから、
他と比べてビジネス要素がとても強いのが訴訟大国アメリカの訴訟構造。
主人公は「あなたのために借金漬けになってるのに!」と言うが、意味が分からない。
頼まれてもいないのに他人のために借金して仕事をするなんて普通じゃないし、
要は勝訴時の報酬や名誉を狙ってギャンブルした自分の責任であり「自分のため」だろう。
それと、不利な案件は地の利と大国パワーを利用して自国で提訴して、
強引にもっていこうとするのが彼の国の常とう手段。日本もこの手の訴訟を相当食らっている。
結局、巨額の資産・報酬を得ることを何よりの目的として、
そのために良くも悪くもありとあらゆる手段を使った話であることが否定できず、
ならそういうものとして真正面から描けばよいのに、
そういう意地汚いビジネスの話や、国家間の力関係のやりとりを、
正義や反戦という観点にすり替える魅せ方には疑問がある。
小国オーストリアの宝が、なんの補償も配慮もなしに
超大国アメリカの物としてニューヨークにあるという事実や、
オーストリアを不必要なほど悪し様に扱う描写も含めて、
この映画の描き方ではそう感じざるを得ない。
ユダヤ差別や戦時の略奪は許せないが、それはそれ。
ドキュメンタリー映画としては
面白いのではないでしょうか。
クリムトのファンなので楽しみだったのですがクリムトの作品とかあまりでてこないのですね。
クリムトの作品はオーストリアで大事にされてたのだからオーストリアの美術館にそのままおいといてよかったのではとどうしても思ってしまいます。
あとマリアがわがままだとおもいました。
●一枚の絵にかける想い。
一枚の絵を巡る数奇な歴史。素直に感動する。もちろん泣く。
戦争は人びとの暮らしに土足で踏み込んで、破壊する。四半世紀経てもなお晴れることのないトラウマ。過去は捨て、前を向きたい。その心情も理解できる。奪還後のマリアのセリフがなんとも切ない。
弁護士のシューンベルク。この作品のもうひとりの主人公。彼の人生も一枚の絵で変わる。
人は、どこで何を掴むか。何に人生を賭けるか。そんなことを教えてくれる。
余談だけど、いまは亡き渋谷シネマサンライズで最後にみたな。
変わらずアンケートとってて、ラストらしさはなかったけど。
取り返したのは
叔母さんの絵、だけではなく、多くの人の心の中にある家族と故郷の眩しく温かい思い出。
残酷な時代の流れに奪われたのは、尊厳、誇り、家族、暮らし、財産、数えきれない様々なもの…
オーストリアやアパートが傷を蘇らせる2度と行きたくない場所でなくなり、懐かしめる場所になったことが、この物語の1番重要な部分だと感じました。
ラストシーンの笑顔が本当に美しかった。
いい映画だ
無関心••3••好/並••3••凄
無••3••涙/無1••••固ゆで
無••3••社会派/大衆•2•••狂信
楽しめた/紹介する
俺の満足度 70点
作品賞ノミネート可能性 80%
再度鑑賞。
いい映画だ。心が揺さぶられること、映像と音楽が美しいか凄いこと、終わりまで飽きないこと、この3つが自分にとってのいい映画の条件だが、該当!
いい映画だった。
婆さんに主演女優賞を。とても気持ちのいい 凛々しさ でした。
若者にいい感じの頼りなさと頼りがいを。では、成長物語だったのか? いや、やはり彼女に尽きる。
原作があるとしたら、けっこうな長編なのだろうな、ストーリーはかなり駆け足で重厚さはないけれど、実話であり歴史であるということは、それらを凌駕していた。
あ、それと音楽賞、美術賞の次点かな。音楽賞は、俺の中では「セッション」だから。あちらの激しく叩きつける熱き音楽に対して、こちらは静かな中に歴史を感じさせるいい音楽だった。
とてもとても良作
劇場の予告で面白そうな映画だと思ってはいたものの公開中見ることはなく…忘れていたんですけど、新作5本割引で数合わせに借りてみたらなんとめちゃくちゃに良作でした。良い映画。大人なら泣けます。
ヘレンミレン
なんともかわいい。アイインザスカイを見て間がないので落差がすごい。ユダヤ老婦人と若者というバディー感がたまらない。パイナップルアーミーでこういう組合せを読んだが。ライアンレイノルズの血が騒ぐこの映画の転換点、実によくできている。
戦争の罪をナチに棚上げするオーストリア人、ドイツ人よりも加害者意識が低くて済むかもしれない。そこを見事に貫いた問題提起は鮮やかでもある。
国の枠組みだと問題解決はしづらい訳だが、国の内外を超えて戦争において被害を受けた方には寛容であり、慰霊と同情の念を忘れぬこと、過去を知り過去を現在の教訓として平和を希求する意識をもって努力することの大事さを問う。コンフリクトを打開するために、安易に相手を否定して、自分の中で勝手に解決したことにしても、それは独り言の類。解決はもたらさない。
とはいえ、この映画はオーストリア政府を意図的に悪く描いている恐れがあるが。オーストリア側からこの話を描いたら、ゴリ押しのアメリカ、狡猾な弁護士が国宝を奪い取る話になるんだろうけど。
絵画を通して見る歴史
ナチものは重くなるが、華麗な絵画を軸にウィットに富んだヒロインと弁護士の二人を通して、冷静で冷徹な法廷バトルと過去のナチによる過酷な思い出が交錯する様は見応えがあった。アメリカは希望を叶えてくれる国だったのだなあ(なぜか過去形?)
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