「プライバシーは守るものースノーデン」スノーデン Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
プライバシーは守るものースノーデン
歴史上スノーデンは足跡を残した人なので知っていたがこんなにスリルのある中身の濃い人生だとは知らなかった。コンピューターオタクで優秀でアスペルガーのような特別な障害を抱えた青年かなあと自己判断していた。銀行員か何かと接触したくてリンゼイ・ミルズの手を借りるなど、社交的ではなく新しい人との交わりが下手な雰囲気を十分持っている。しかし、想像以外だったので驚いた。頭脳明晰で思慮深い人間で、機械のようではないので驚いたということ。この映画からは彼
の人間性がよく現れていて、スノーデン役の俳優ジョセフ・ゴードン・レビットの微妙な表情にスノーデンとの共通点が表れている。
スノーデンはジョセフ・キャンベルとスターウォーズが好きで、CIA トレーニング・センターで受けたテストで、速くて正確で機転が効くので、オブライアン先生を驚かせた。優秀で、どこで働いても目立つ存在になる。そして、「白雪姫」とあだ名を付けられても、全く反応していない。
彼の人生の中で大変だった時は2013年6月4日からの日本の横田基地NSA関連施設に派遣された時のようで、リンゼイ・ミルズとの関係もうまく行かず、彼女はメリーランドに帰ってしまった。ここでの会話(喧嘩)を聞いていると、わかるが、彼は忙しくストレスが溜まると、自分の時間を彼女と共有するのではなく、一人こもって、コンピューターゲームに走って、その自分だけの時間でストレスを解消するようだ。オタク(ナード)の人によくあるパターンだと聞いたことがある。それに、彼女との肉体関係もひいてしまうようだ。リンゼイ・ミルズの方はもっとオープンマインドでスノーデンのコンピューターオタクという性格とは相入れないことがあるようだが、リンゼイ・ミルズの協力はスノーデンにとって大きかったろう。彼女はスノーデンが何をしているか知らされていないわけだから、ただ信じるだけで、大変だったろう。リンゼイ・ミルズのおかげで、この映画は人間的になった。
スノーデンは良いこと悪いことの判断がはっきりしているから自分の仕事にも疑問を感じていたと分かった。米国では国際的監視網(PRISM)の盗聴の実態と手口などを内部告発したから法律的に犯罪者になるが、米国以外では『英雄』と言ってもいいかもしれない。自国の問題点の告発、倫理観、基本的原理、損得勘定なし、学歴より実力、という彼が気に入った。今、ロシアにいると思うが、ウクライナの侵入に対してどう考えているんだろう。新聞で探してみたが、彼はコメントを述べていなかった。現在のスノーデンの姿を知りたいね。
今回、はじめてスノーデンを見たいと思った理由はマイナンバーでのデジタル管理の一本化と 米国IT企業がデータバンクを印西に作るという記事をニュースで読んでからだ。私は単細胞なので、ふっと恐怖感を覚えて、スノーデンのバイオピックとドキュメンタリーを見ることにした。
彼は米国の国家安全保障局 (NSA) および中央情報局 (CIA) の局員であるが、国際的監視網(PRISM)の実在を暴露し、我々一般人にも、これからのコンピューターの扱いや、クレジットカードやメールなどにも問題意識と気づきを与えてくれたし、私のベストフレンドで著名な物理学者の生活は『自分は自分で守る』という徹底して現実離れをしているが、それも人生だと感じさせてくれた。自分の倫理観のある行動が選挙の一票に大事な役割を果たすとも感じた。それに、スノーデンの言葉で、事実を世界に公表して、彼が悪か、米国政府の内部が本当に悪いのか、世界の人々が決めると。この言葉も好きだ。これからもっとグローバル化が進むと、こういうケースが他の形で出てくるのではないか?それに、最後に誰かが言っていたけど、自由、憲法などの意味をアメリカの人々に教育したと。
もっとも大切なことは、映画ではないが、スノーデンの言葉で、『何も隠すものはないから、何も怖がることはない。これはナチスのプロパガンダだ。プライバシーは隠すものじゃない。守るものだ。
Privacy is the right to the self.