「スノーデンが訴えた問題をすり替えてしまっているような」スノーデン MAPingSさんの映画レビュー(感想・評価)
スノーデンが訴えた問題をすり替えてしまっているような
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ネット監視社会の脅威がそもそもよくわからないという人にはとてもわかりやすく作られた作品だと思いますが、スノーデン事件にかかわるノンフィクション作品とうたうにはかなり問題があるような。(脚色しすぎという点で)
ストーリー上ドラマティックでとても見やすい作品であることは間違いないです。その点はフィクション且つエンターテインメント作品として十分に楽しめます。
けれど実在人物のスノーデンはプライバシーの侵害は言論の自由を奪われることであると訴え、人権侵害の問題を提起した人間です。アメリカが個人を監視することで民主主義は独裁主義変わるだろうと社会に警告した人物です。
本作中でもその点には一応触れているものの、焦点はシステムの軍事利用の方にスポットがあたってしまい、作中彼の怒りの沸点が自分の作ったシステムがいつのまにか軍事利用され、罪なき人々の命を奪っていたことにより暴露に至るため、彼の訴えの趣旨が異なり過ぎてノンフィクションというにはあまりにもひどいと思ってしまいました。
この作品を見る人は、スノーデン氏が命がけで訴えた根源を忘れないで欲しいと思います。彼は自由の国を愛しているから国民に警告を決断し、国に戻れなくなりました。そして悲しいことにアメリカと不仲である国に助けられ、人権弁護団の頭脳を持ち寄っても司法が彼を守ることは難しいそうです。
ハッキングもクラッキングも可能な彼が最終的にアナログ式の情報交換に頼りながら亡命できた点。すべてが本末転倒なだけに事実は物語よりも切ないものがあります。
このあとドキュメンタリー映画「シチズンフォー」を観ることをお勧めします。
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