「世界の裏側」スノーデン U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
世界の裏側
これは映画と呼んでいいのだろうか?
不思議なのは、それほどのリアリズムを持って伝わってこないという点である。
どこか創作に思えるし、どこか架空の話のようでもある…。
だが、どうだ?
そのバックボーンは、克明な輪郭を持って僕らの耳に届いてくる。
主人公はロシアに亡命し、現政権はロシアからのサイバーテロがあったと報道する。
あまりに出来すぎた創作である…。
つまりは創作ではないのだという事を、世界中のメディアが肯定する。
ご本人も登場してるし。
作品中、一つの台詞に震撼した。
「政府として、ニューリーダーの元、方針が変わったら?」
まさに"今"なのだ…。
その構築されたシステムが一人歩きする。
成立した法律が歪められたりもする。
現在の世界をも巻き込んで、映画としてのリアリズムを反映させる。
…空前絶後の魔法がかかってるとんでもない問題作なのである。
映画に"旬"というものがあるならば、まさに"今"なのだ!
公開をこの時期にしたのは絶対偶然じゃないだろ?
連日のように現大統領が脅威を撒き散らし、ほのめかしてるぞ。確信犯だな。
明確な敵として、中国やロシアが槍玉にあがるし、それを想起させる報道が放送されてる。第三次世界大戦なんて嘘みたいな言葉が平気で飛び交い、それが起こらない理由に、妙な説得力を感じる。
見てる時よりも、見終わった後…現実との擦り合わせが出来れば出来る程に、恐怖と戦慄を感じる。
僕らは映画を観てたのか?
それとも何かの予言を突きつけられてたのか…?
これを製作できた"表現の自由"に心からの敬意を払う。
いわゆる某国では国家反逆罪とも呼べるレベルので犯罪者を擁護し、国家ので暗部を公にしてる作品なので、そんじょそこらの社会批判とは訳が違うとは思うのです。
よくぞやってのけたというのが素直な感想です。
そして、それを公開させた某国にも、どれほどの闇を内包してるのだろうかとソラ恐ろしくなります。
公開自体にはなんの支障も妨害もなかったように思うので。
ま、あくまで想像ですがw
Oliver☆Stone 監督の映画は、結構、好きなので今回も期待して観に行きました。
私の中のSnowden 氏への考え方が、180度変わりました。
AmericaのCIA やNSA の身勝手さに身震いしました。
これを映画化するのは、とても大変だったと思います。
USA の大統領がTrump に替わってSnowden 氏と彼女はどうなるのか心配です。
Snowden は、Russiaに亡命したんじゃなくて、本当はEcuador に亡命するつもりだったんですよね⁉