ディーン、君がいた瞬間(とき)のレビュー・感想・評価
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ジミー、フォーエバー
『エデンの東』『理由なき反抗』『ジャイアンツ』。
たった3本の主演作を遺し、24歳の若さで亡くなったジェームズ・ディーン。
伝説の存在であり、永遠の青春スター。今尚その魅力やスタイルは支持され愛され続けている。
そんな彼はどんな素顔だったのだろうか…?
不幸な生い立ちは知られているが、我々はスクリーン上の鮮烈な姿しか知らない。
貴重なプライベート写真が残されている。
雨の中街中を煙草を咥えて歩く姿、映画では見た事無い眼鏡姿…。これら見た事あり。
その写真を撮ったのが、デニス・ストック。
ジェームズ・ディーンの無名時代から死の直前まで。
短い間だったが、親交が深かった数少ない人物。
本作は、デニス・ストックとジェームズ・ディーンの知られざる友情の逸話を基に。
“マグナム・フォト”に所属する写真家デニス・ストック。
“マグナム・フォト”とは、著名な写真家たちが中心になって、写真家たちの自由や権利を守る為に構成されたグループだという。被写体は日常風景、自然、動植物など様々で、名作として後世に残されている。
LIFE誌に雇われ、映画スターの写真を撮る日々。そんなある日のパーティーで、一人の若者と出会う。
華やかな場で皆がわざとらしいおべっかを言い合う中、その輪に入らず、たった一人孤高の佇まい。
デニスも人ゴミに疲れていたので、そんな彼に興味を持つ。
初の主演映画の撮影を終えたばかり(監督はエリア・カザン!)。早くも次回主演作の話も。
映画会社の人に聞いても、かなり異端児だが注目株の新人だという。
彼は名乗った。ジミーと。
正直デイン・デハーンはジェームズ・ディーンに似てない。と言うか、演技力ある似てる俳優を探すのは困難だし、特殊メイクを施しても違和感はある。それぐらいの唯一無二の存在。
鋭さのある容貌と屈折した役柄が多いデハーンの醸し出す雰囲気が、反抗的ながらもナイーブな内面のジェームズ・ディーンに重なった。
賛否はあるだろうが、見た目より雰囲気や魅力の絶妙なキャスティングだと思う。
ポスト・ディカプリオと呼ばれ、実力活かした活躍続き、伝説のスターを演じながらも、最近ご無沙汰なのが惜しい。
本作はジェームズ・ディーンの伝記映画ではなく、あくまでデニス・ストックの視点から見た物語。
個性的なジェームズ・ディーンに対し、どちらかと言うと真面目で物静かな性格で、受け身。家族との向き合いの悩みも。
ジェームズ・ディーンを演じるのはプレッシャーだが、平凡な人物を演じるのだって難しい。ロバート・パティンソンが繊細に演じる。
プライベート写真の撮影背景、当時の映画界の内幕、著名な映画人の登場など、興味深いエピソードの数々は映画ファンには堪らない。
が、本作は二人の若者の友情秘話。
各々日本行きの仕事や映画のプレミアを断り、二人でジェームズ・ディーンの生まれ故郷のインディアナへ旅に。
道中、ジェームズ・ディーンは身の上話をする。早くに亡くなった母の事、祖父母や親戚の事…。
不幸な生い立ちの彼がこんな話をする事はきっと無かったのだろう。
心を開いた友にだけ、話したかった。知っておいて欲しかった。家族にも紹介。
町の若者からダンス・パーティーに誘われる。心から楽しむ。
映画人に囲まれたくたびれるだけのパーティーより、平凡な娯楽や幸せの場、人々を好む。
披露したスピーチが印象的。
地元を愛し、地元に愛された若者は、世界中で永遠に愛され続けるスターへ。
帰郷はこの時が最後になったという…。
そんな彼を“スター”としてではなく、“一人の若者”として見つめた友の眼差し。
その友に、こちらも見せてくれた素顔。
どんなに飾り立てようとも、素に勝るものはない。
彼もごく普通の愛さずにはいられない若者だった。
やはり主演の名作3本がまた見たくなる。
最後に見てから随分と久しい。
いつまでもこう思い続けるだろう。
ジミー、フォーエバー。
邦題がちと悪い。
友情の物語なら愛称の“ジミー”の方がいいと思う。
名字の“ディーン”じゃ何かよそよそしい。
俳優さんはいいと思うのだけど
ジェームス・ディーン(=ジミー、デイン・デハーン)と、彼を撮影したカメラマン、デニス・ストック(ロバート・パティンソン)との交流を描いた映画。ちょうど「エデンの東」公開前後の時期で、ディーンが自動車事故でこの世を去る数か月前のことだ。デハーンよりも、ロバート・パティンソンのほうが主役っぽかったように思う。(最後のクレジットでもパティンソンのほうが先に名前が出た)
ストーリーにおいては全体的にまったりしていて盛り上がりに欠け、どこに注目して観ればいいのかいまひとつ分かりにくかった。知名度が上がるにしたがって自由を奪われ、望郷の念を強くするジミーと、仕事も別れた妻子との関係もうまく行かず悩むデニス……という背景だったと思うんだけども、それぞれの悩みや孤独感が、頭では理解できるがなぜかそれほど胸に迫ってこなかった。なんでだろう、脚本のせいなのかなあ。どこが一番盛り上がってるシーンなのか、よく分かんないまま終わった感じ。
それでも、映像が良かったので最後まで楽しめた。さすが写真家でもある監督の作品なだけあって、どのシーンをとっても構図がびしっと決まっていて、とてもさまになっていた。
私はディーンのことをそれほど知らないし(若くして事故死したすごい映画スター、ぐらいの知識)、顔は分かるが出演作はまったく観たことがないという状態で観た。デハーンはディーンとまるで似ていないのに、ところどころ目つきがディーンに似ていると思った。しかし、観ていて「この人がジェームス・ディーンなんだ」とはっきり印象付けられるような場面はなく、最後まで「ディーン役のデハーン」以上には思えなかった。
ロバート・パティンソンは知的で小奇麗で、17で女を妊娠させるようなやつにはとても見えなかったけど、変なクスリでハイになってめっちゃ語りまくるシーンは実によかった。
あとジョエル・エドガートンの渋い声がかっこよかった。ああいう理解のある上司いいなあ。
やたらとコンガを持ち歩くディーンには、ちょっと笑ってしまった。
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