SAINT LAURENT サンローランのレビュー・感想・評価
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イヴ役の役者さんが良い。
サンローラン役の役者さんの色気&エロスがやばい!中性的で登場シーンから既に色っぽいんだもの。
そして眼鏡男子好きとしてはもうたまらん。お洒落眼鏡ながら目が悪いからかけてる生粋の眼鏡男子(寝るときに外したりかけたりしてるシーン有り)という点もすばらしい。
そしてさすがイヴの衣装がいちいちお洒落で素敵だった。何あのお洒落な蝶ネクタイ。超かわいい。
ただストーリーとしてはなんだか冗長な感じが否めない。フランス映画だから(偏見)?そしてやっぱり詩的な言葉で愛を語らずにはいられないのね(更なる偏見)。
アパレル業界になじみがないとあまり聞き慣れない「オートクチュール」や「プレタポルテ」やらの単語が飛び交うし、時系列が交錯しまくるし、愛称で名前を出されると誰が誰だかわかんなくなってくるし、途中から若干ついていけなかった。笑
そしてムジークがドラッグ食べて痙攣してるシーンとかはトラウマの域(動物愛護団体が見たら怒りそう。。)。
全体として退廃的なんだけどイヴが音楽好きなのもあって作中に様々なジャンルの音楽が登場したのは良かった(飼い犬の名前もムジークだったし)。
R-15ってことで性的なシーンがあるのかなと予感はしてたけど斜め上をいってた。男性の全裸・性器モザイク(しかも上品なモザイク)はびっくりしたな。笑
「服を売りたいのではなくサンローランを売りたいのだ」って言葉が印象的だった。
色々書いたけど総括するとサンローラン役の役者さんがかなりすてきだったのでよしとする。
男と薬と音楽の映画。あと服
天才がスランプに陥った時の衝撃というのはこういう事なのか。
薬に男。男と薬。プログレな音楽と美しい情景を見せながらも、夢か現実かわからない日々を見せてくれる。
とにかく音楽と絵の作りは最高に良い。
そしてサンローランさんの表情もなかなかイっちゃっていてヤバい感じプンプンです。それでも彼はこれから復活するというのだからやはりそこも天才なんですね。
総じてこれは上品なドラッグムービーと言えるかもしれません。
退屈だ。
当たり前だ。
僕はファッションにも、イヴ・サンローラン氏にも興味がない。
興味のわかない分野だから、どんな世界が広がってるのだろうと観にいった。
…逆に興味があって観に来た人はどんな感想を持つのだろうか?
物語は、ご自身にスポットライトを。
華々しい話しかと思いきや、非常に矮小な1人の人間の話しだった。
酒とドラッグと、女ではなく男。
ファッション業界にはよくあるタイプの人物像だ…男同士でディープキスとか勘弁してほしい。
劇中に「ピル」っていう和訳があった。名称は分かりやすく「ピル」にしたのかなとも思うが、同じような効能で服用できるものが、あんな時代から認可されてたんだと驚いた。
それは、さて置き。
流石にファッションの話しだけあって画面に散らばる色使いが非常に心地よかった。
コントラストとでもいうのだろうか…見やすかった。ああいう世界の中で生きてきた人なのだ。そして、それは彼の偉業をどことなく表現しているようにも思えた。
そして、イヴ・サンローランの服はとても攻撃的なのにエレガントだった。
挑戦的な色や柄なのに優雅さと品格を感じる。着こなしてる事自体、大したものだと思ってしまう。
なのだか……。
そんな彼の人物像をここまで赤裸々に映像化した事は果たした是なのだろうか?
物語の7割はファッションの話しじゃない。
彼の性生活の話しである…それもかなりディープな。一体誰が得をするのやら、甚だ疑問だ。
その描写も記述もふんだんに用意されてる。
そんなわけで…とあるゲイの話しだった。
つまらなく、退屈で冗長な映画
あまりにも長い2時間半で、体感的には6時間ぐらい映画館にいるような感覚を持った。
サンローランの伝記的な内容を期待して見に行くとかなりの失望感を味わえる。かといって、エンターテイメント性を求めて行くとそういったものは何もないということに気がつく。
サンローランは冒頭からファッション界で成功していてなぜ「モードの帝王」と呼ばれるに至ったかは全く描かれていない。そして、成功した後に創作に苦しみ時代を作っていったプロセスがあるわけでもない。劇中のサンローランは常に創作活動をしていてアイディアが枯渇していく描写は一切なく、デザインが仕上がらない時は常に単に私生活が荒れているだけなのである。芸術家の苦悩という点でもこの映画は失敗している。
この映画にあるのは、酒、ドラッグ、ゲイのセックス、タバコ、タバコ、とにかくタバコだけである。
とにかくこの映画は焦点が絞りきれていない。
サンローランの周りの人間関係の描き方は淡泊でそれは生涯のパートナーであるピエールについても同様である。サンローランの周りには肉体関係はないものの(彼はゲイだからだ)、彼を献身的に支える優秀な女性が存在するが、彼女達がどのような気持ちで人格破綻者の天才に寄り添っているかはわからない。サンローランの情夫のジャックに至ってもただ快楽に溺れたセックスをしているだけで、そのことがサンローランの創作に及ぼした影響は一切ない。彼がいてもいなくてもサンローランはデッサンし続け、物語には何の影響もない。
また、この映画は時系列をバラバラにして物語が進んでいくが、このことによる演出効果も全くない。例えば、映画の後半になって序盤の意味のわからない場面がつながるという手法はよくあるものだが、この映画に限ってはどの場面も了解可能で、単純に時系列をバラバラにしただけであるため意味がない。監督は何をしたかったのか。
そして最後の1976年のコレクションのシーン。劇中ではサンローラン自身が唯一満足の行くコレクションであったと述べるコレクションであるが、そのシーンの爽快感は全くなく本当に淡々と進む。というかこの映画はファッション自体もそのデザインに至った経緯を全く描かないのでそこに感動はなく観ている側も「早く終わらないかな」という感想しかない。
この映画で良かったシーンは、サンローランが中絶をする女性スタッフに優しくした後に別のスタッフにその女性をクビにするように伝えるというシーンのみである。ここだけは、「女性の味方」と呼ばれていたサンローランが決して女性のためにデザインを行ったわけではなく自分の欲望の赴くままデザインを行っていたという解釈が見て取れて挑戦的で良かった。
また、役者の演技は全てよく、脚本さえ良ければ良い映画になっただろう。
無意味で平坦な出来事が映画の大半の時間を埋め尽くし、観ている人間は無の境地に行き着く。
成功しても心の空間が埋まらない天才サンローランと同じ気持になって劇場を後にしたい方にはオススメ。
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