「本質を見た人に問いたくなる映画。」ヒトラー暗殺、13分の誤算 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
本質を見た人に問いたくなる映画。
誰の言葉だったか定かではないが…「大衆は豚だ」と言う一言を思い返さずに入られなかった一本。
体制に、社会(この言葉が曲者)の流れに噛み付き一人戦った男の物語。
映画的には効果的な時勢の交差、主人公の描き方と演じる俳優の巧みさでかなりのめり込んで観られたのが上手い。
サスペンスと、人道的恐怖と、主人公の信念。
でも本当に恐ろしいのは。
ナチを持ち出すまでも無いことだが、そこに描かれるいわゆる「大衆」の醜さ。
劇中で主人公は…というのは観て頂くとして。
昨日までの隣人の首に「ユダヤ人と付き合う豚」と言う札を付けさせさらし者にする、自分の頭を使わない人々の怖さ。
まったく人ゴトではないし。
時代を越えた今の日本でも、例えば学校でも間々友の間でも規模は違えど同じことをしているこの虚しさ。
この映画を観た感想を、比べるとたぶん浮き彫りになる「人事体質」の試金石なのではないだろうか。
主人公の方は、かのドイツでも尊厳を回復するのは死後50年弱を要したと言うラストの一文…
自由が当たり前になり、義務と道徳と大儀がおろそかにされる今の時代。
人間て何だろう、と本気で考えさせられた作品。
感動・人道一辺倒の邦画も、奇麗事ばかりじゃ不味いのではないだろうか?
「進め一億」の中に杉原千畝が1/10いたら。。
自国民の恥を反省できるドイツの戦後の社会体質は本当に尊敬したい。
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