劇場公開日 2016年4月23日 PROMOTION

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太陽 : 特集

2016年4月11日更新

「サイタマノラッパー」入江悠監督×傑作舞台×若手実力派俳優 
この映画を見れば、あなたは“本当の自分”を知ることになる!

読売演劇大賞に輝く気鋭の劇作家・前川知大率いる「劇団イキウメ」の傑作舞台を、「SR サイタマノラッパー」の鬼才・入江悠監督が、若手実力派・神木隆之介&門脇麦を主演に実写映画化。太陽の下では生きられない新人類と、貧しく生きる旧人類が対立する近未来を舞台に、人間の本質を浮かび上げる「太陽」(4月23日公開)の見どころとは?

新人類と旧人類が対立する世界であがく若者を、神木隆之介と門脇麦が熱演!
新人類と旧人類が対立する世界であがく若者を、神木隆之介と門脇麦が熱演!

SFであり、青春群像劇であり、ラブ・ストーリーであり、家族ドラマでもある── 
「誰」に共感し、「どこ」に注目するかによって、あなたの内面が浮き彫りになる!

「もし自分がこんな状況に置かれてしまったら、何を選択し、どのように振る舞うのだろうか?」。そう強く考えずにはいられない問題作が、本作「太陽」だ。

舞台は、現在からそれほど遠くはない未来の日本。原因不明のウイルスの拡散によって世界の人口が激減し、生き残った人類は新人類「ノクス」と旧人類「キュリオ」の2種類に分けられてしまう。ウイルスを克服し、若く健康な肉体と高い知能を手に入れながらも、太陽の下では生きられなくなったのがノクス。キュリオは、太陽の光をおう歌しながらも、感情的で暮らしは貧しいまま、ノクスに管理されることでしか生きられなくなった人々だ。

昼と夜、ふたつの人類は太陽の光によっ分け隔てられる
昼と夜、ふたつの人類は太陽の光によっ分け隔てられる

物語は、このふたつの人類が対立する世界で、キュリオの村に生まれ育ちながら、うっ屈した社会からの離脱を求めてノクス世界に憧れる少年・鉄彦(神木隆之介)と鉄彦の幼なじみである少女・結(門脇麦)、そして結の父(古舘寛治)の姿を捉える。鉄彦は、ノクスとキュリオを隔てるゲートの門衛としてやってきたノクスの森繁(古川雄輝)の元を頻繁に訪れ、次第に種を超えた友情を育んでいく。だが結は、自分と父を捨ててノクスへと転換した母(森口瑤子)への恨みから、ノクスへの憎悪を募らせる。そんな結の姿を、父は複雑な思いで見つめるのだ。経済封鎖が解除され、10年ぶりに若者に限られたノクスへの転換手術が行われようとするなか、彼らの運命が大きく動いていく。

さまざまな登場人物たちの姿が、生きること、人間の本質を見る者に問いかける
さまざまな登場人物たちの姿が、生きること、人間の本質を見る者に問いかける

本作はSFでありながら、若者たちの青春群像、素直な気持ちを伝え合えないラブ・ストーリー、子どもの幸せを心から願う親の家族愛など、さまざまなテーマを内包する。新人類と旧人類の対立は、そのまま現代社会の格差問題に当てはめられるかもしれない。近未来的なビジュアルが登場するわけではなく、自然に囲まれた寒村が舞台であり、見る者が暮らす日常とつながっている世界観だからこそ共感度が高められる。ノクスなのかキュリオなのか、そして「誰」なのか。注目するポイントによって、自分自身が内に抱えるものが浮き彫りになる作品なのだ。



映画監督・入江悠&劇作家・前川知大の大胆かつ実験的な《挑戦》 
そして、若手実力派・神木隆之介&門脇麦が踏み込んだ《新たなる境地》!

日本映画において、これまでにない形のSF作品を作り上げたのが、「SR サイタマノラッパー」シリーズの鬼才・入江悠監督。彼が、読売演劇大賞に輝く気鋭の劇作家・前川知大が率いる「劇団イキウメ」の傑作舞台が持つ斬新さと普遍的なテーマ性に惹かれ、映画化を熱望した。架空の世界設定下で感情をほとばしらせる難役に挑んだのは、若手実力派として注目を浴び、着実にキャリアを重ねる神木隆之介と門脇麦。映画界と演劇界の鬼才による野心的な挑戦と、それが引き出した若手俳優の新境地に注目すべき一作だ。

本作のティザー・ビジュアル(左)と撮影中の入江悠監督(右)
本作のティザー・ビジュアル(左)と撮影中の入江悠監督(右)

メガホンをとったのは、「SR サイタマノラッパー」シリーズで注目を集め、「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」「日々ロック」「ジョーカー・ゲーム」と次々と注目作を送り出してきた入江悠監督。リアルな人間性を生々しく描く手腕は今作でも健在。十数名が入り乱れるクライマックスが特に印象的だが、臨場感たっぷりの長回しに目を見張るのは確実だ。

太陽の光が照らし出す、美しい自然の風景にも注目
太陽の光が照らし出す、美しい自然の風景にも注目

原作のみならず、今作では入江監督との共同脚本を担当したのが、「劇団イキウメ」を率いる劇作家・前川知大。「太陽」は11年に初上演され、読売演劇大賞ほかさまざまな演劇賞に輝き、14年には蜷川幸雄演出による「太陽2068」(綾野剛、成宮寛貴、前田敦子出演)としても上演された傑作だ。日常から遠くない非日常的世界で、人間の本質が浮き彫りにされていく。

キュリオでありながら、ノクス社会に憧れる鉄彦は、ノクスの門衛に接近するが……
キュリオでありながら、ノクス社会に憧れる鉄彦は、ノクスの門衛に接近するが……

旧人類として生まれながらも、新人類の世界に憧れる純真な少年・鉄彦を演じるのは、「桐島、部活やめるってよ」「るろうに剣心」シリーズ、「バクマン。」など、数々の話題作に出演してきた神木隆之介。絶望にあふれた世界で、2つの人類の隔たりを超えて絆を深め合おうとする姿は、本作の唯一の希望といっても過言ではない。ノクス役の古川雄輝とのどこかコミカルなやりとりにも注目だ。

ノクスに転換した母を持つ結は、自分たちの力でキュリオ社会を改革したいと願う
ノクスに転換した母を持つ結は、自分たちの力でキュリオ社会を改革したいと願う

鉄彦の幼なじみで、幼い頃に生き別れた母と、自分を優しく見つめる父との間で苦悩する少女・結を、門脇麦が演じている。その可憐な容姿だけでなく、14年の「愛の渦」の濡れ場、「闇金ウシジマくん Part2」での汚れ役で見せた本格女優としてのたたずまいで大注目。NHKドラマ「まれ」出演とも合わせて、一気に飛躍した若手女優だ。今作でも衝撃的なシーンが描かれており、見逃せない。


監督と原作者から映画ファンへのメッセージ── 
本作は、見た後に語り合える、さまざまな見方ができる映画

SF、青春群像、ラブ・ストーリー、家族ドラマと、「太陽」はさまざまな側面を持つ作品だが、より深く楽しむにはどういう見方をすればよいのか。メガホンをとった入江悠、そして原作者であり、入江監督と共同脚本を手掛けた前川知大へのインタビューから、その答えをひも解いてみた。

(左から)野心的な映画製作に挑んだ、原作・共同脚本の前川知大と入江悠監督
(左から)野心的な映画製作に挑んだ、原作・共同脚本の前川知大と入江悠監督
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 闇に生きるノクス、太陽の下で生きるキュリオの対立を描く本作だが、前川は「ちゃんとしたSF、それもバンパイアものをやりたかった。現代の日本でリアリティをもって描ける形として、この世界観がしっくりくるなと思いました」と振り返る。影響を受けたのは、「藤子・F・不二雄のSF短編『流血鬼』と、そのインスパイア元であるリチャード・マシスンの『アイ・アム・レジェンド』」。「死ぬときまで若いままでいられる。文化的・社会的な存在として人間よりうまくやれる。世の中の矛盾や社会システムのほころびを修復して、すべてコントロールできる人たち。理想です」(前川)という、人類の上位種としての存在だ。

 入江監督はこの設定を絶賛、「海外の映画や小説でもここまで絶妙なものはなくて、この設定にハマりました」と語る。「分断された社会であるとか、『映像化したい』っていう欲望を喚起させる題材。演劇では抽象的に表現しているものを映像で具体的にしたらどうなるのか。スタッフと相談することがすごくたくさんあるので、新しいものを作れるんじゃないかという思いがありました」。

日常の延長線上に非日常を用意し、人間の本質を浮かび上げる作風が前川と劇団イキウメの持ち味だが、入江監督は「太陽」の設定に大きくインスパイアされたのだ。

鉄彦と友情を深めていくノクスの森繁を演じたのは、「ライチ☆光クラブ」の古川雄輝
鉄彦と友情を深めていくノクスの森繁を演じたのは、「ライチ☆光クラブ」の古川雄輝

では、ノクスとキュリオのどちらが幸せなのか? 本作を見る者にとってもそれは大きなポイントだが、「どっちがいいかという問いかけだけになってしまうと、ダメな話だと思っているんです。現状に居座ってしまうとノクスに『だからダメなんだよ』と言われてしまうし、(キュリオを)切り捨てるような印象になると、僕らもキュリオ側の人間ですから、本当に冷たい人に見えちゃう。基本はキュリオ側にいるんだけどノクスの立場を目指さないといけない。違う形で俺たちもできるよ、みたいな、すごくグラグラしているところに、がんばって居続けた方がいい」と前川は語る。

 監督は「(ノクスの理想的な)利便性は欲しい」としながらも、「どっちを選ぶというのはなかなか難しい」と回答。「こっちの道に進んでいって、それが正解なんだろうか?ということを考えさせてくれる題材。批評性がすごくある作品だと思います。こういう脚本はなかなか日本では見たことがない。日本で問題提起する場合は、啓蒙的というか上から目線が多いけど、本作のように観客に委ねるものはもっと出てきてほしい」と、その答えは見る者自身が考えるものだと語った。

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 「(ひと言で言うと)『青春ドラマ』が一番強いのかな。SF青春ドラマ。2人とも現状から脱出したい、何かになりたい。具体的な目的地があるわけじゃないんですが、ここから出たいという思いが一番強い映画なんじゃないかと思います」と、本作を説明する前川。

 「2人のことを考えるとそうなのかな。人類の葛藤の映画だというような言い方をしてもいい。色んな切り口や豊かさが入っているので1つをピックアップするのが難しいです」と明かす入江監督は、「観客に色んな角度から見て感じてもらえればいい。結のお父さん目線の見方もできるし、ビジネスマンなら(合理性を追求する)ノクス側の視線で感じられるかもしれません」とあくまでも見る人によって違う見え方を期待する。

だが、「神木くん(演じる鉄彦)と古川くん(演じる森繁)の友情はすごく希望がある。現実世界では戦争やテロとか色々あるけど、(映画の中の)2人のように種を超えて歩み寄っていければと考えると、強い希望を感じますね」と断言。「そこだけは、ポジティブなメッセージをもらえるといいですね。自分たちでやるしかないんだなと」という前川の言葉とも合わせて、最後にはきっと前向きな気持ちになれるのは確かなようだ。

ラストシーンは見る者に何を与えるのか? 観客は自然と自らの内面と向き合うことに
ラストシーンは見る者に何を与えるのか? 観客は自然と自らの内面と向き合うことに

 最後に見どころを聞くと、入江監督は「こういう作品の演技は、俳優にとって知性を要求される。今までやってきたことの延長ではできないんです。神木くんをはじめ、キャストの方々は相当苦労して作り上げた。この作品以外では見られない芝居をしていると思いますから、俳優たちを見てほしいです。世界観を俯瞰(ふかん)できないと演じられません。尊敬しかないですね」と、俳優陣の演技を絶賛。前川は「ひと言で言い表しにくい分、フラットに見てほしい。最後に『何を見せられたんだろう?』と疑問を持って帰れる。観察するような感じで見てほしいです。ある村のドキュメンタリーを見るような」と明かした。

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