「認めたくないけれど、がっかり…」ギャラクシー街道 cmaさんの映画レビュー(感想・評価)
認めたくないけれど、がっかり…
三谷幸喜さんの映画は、「ラヂオの時間」以来、必ず観ています。あのときの胸の高鳴り、手に汗握り、それが心の中でガッツポーズ!に至る瞬間が忘れられず…。けれども、さすがに本作は…。認めたくないのですが、こういう気持ちを「がっかり」というのだな、とじわじわと感じています。
「登場人物、全員宇宙人」がキャッチコピーですが、実際はメインキャストのほとんどは地球人。(まあ、地球人もある意味「宇宙人」ではありますが。)いわゆる宇宙人たちは、どことなく変わり者・ゲテモノという設定。グロテスクな習性を、「笑い」に結びつけようとしている感じが気になりました。
何より、登場人物一人一人のキャラクターがいずれもスカスカで、誰一人と共感しがたいところが辛いです。実はいい人、とか実はこんな面もある、とか、次第に成長が…という要素もほとんどなく、物語の展開に伴う変化(ひねり)がありません。唯一、綾瀬はるかは気立てが良く可愛らしいですが、あんまり賢くないタイプの可愛らしさ…なのがイタイです。しかも、彼女の夫で主役の香取慎吾が一貫していけ好かない性格で、なせ彼女がぞっこん?というモヤモヤが残りました。
また、バラバラだった人々がだんだん絡み合い、化学反応を起こす!というのが群像劇・三谷作品の面白みだと思うのですが、そのようなうねり・高まりも感じられませんでした。確かに、とある「共同作業」がクライマックスに用意されていますが、唐突な感じがして、傍観者から一歩踏み出せず…。様々に張られていた伏線が終盤で鮮やかに回収されていく過程も、おお!というよりは、あ、なるほど…という納得止まりで…。もったいないというか、「こんなはずでは」という気持ちが残りました。
とかく長めの三谷作品ですが、今回はことさらに110分が長く、間延びした印象が拭えませんでした。せめて、90分くらいだったらよかったかもしれません。
…とはいえ、新作が生まれたら、いそいそと観に行くと思います。三谷作品は、やっぱり魅力的。次回に期待します。