劇場公開日 2015年7月11日

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「園子恩監督作品は」リアル鬼ごっこ めいめいさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5園子恩監督作品は

2015年7月15日
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怖い

興奮

今までの園子温監督は人間の本能、哀しみ、儚さ、醜さ、危うさを描き、炙り出しのようにむしろ人間の美しさや強さ、健気さがコントラストとして浮かび上がるのが素晴らしい。
表現や見せ方を既存の作品や世間に挑戦していて好感も持てる。
自主映画の延長線というか、自主映画のノリで劇場や映画界に立ち向かう感じが面白かった。
監督は監督で表現に闘うだろうが見る方も監督の熱量についていくのにいつも精一杯だった。

この作品はパンチラやバイオレンス、スプラッターなどは園子温ワールドだった。
高校生が「思い出したくない」と酷評しながら劇場をあとにしているのを見て、また、ここでの評価の分かれかたは園子温監督のファンならニヤリとするところだ。

しかし、シュールを語らせた時点で園子温ファンとしてはがっかりした。
今までは語らなくても感じさせてくれたのだ。見る側に感じたり考える余地を与えてくれた。
大きい劇場で上映するのには仕方ない、分かりやすくするための演出なのだろうけど、ならばピカデリーでユニバーサル配給ではなく、テアトルで日活配給でいいのにななんて思った。

スプラッターがあるところや理不尽な悪夢を見ているところは「だるまさんが転んだ」によく似ていた。それプラス、詩的な表現や戯曲のような描写があり解らないのは解らないまま楽しめた。

最初の10分で最後まで観られる自信がなかったくらい刺激的ではある。

ただ、前述したような園子温監督の魅力や作品の奥行きには欠ける。
大衆に媚びるのではなく園子温監督ワールド炸裂の作品をみたい。新宿スワンより、ワールドは破裂していたとは思うが。

トリンドル玲奈が、かわいくて守ってあげたくなった。ヒロインに上手く仕立て上げられていた。

めいめい