「ザ・ラブストーリー。」キャロル mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
ザ・ラブストーリー。
センセーショナルな内容もさることながら、構成の妙にうならされた。
クエンティン・タランティーノのような複雑なものではないが、心にしみる構成であった。
レストランで対峙するキャロル(ケイト・ブランシェット)とテレーズ(ルーニー・マーラ)。観ている我々は、彼女たちがのっぴきならない仲だということを知っている。そこにテレーズの男友だちがテレーズに声をかけて、彼女をパーティに誘う。キャロルはそれを機に席を立ってしまう。
そこからテレーズの回想に入っていく。
この冒頭のシーンがどういう意味をもつのか、再びこのシーンがやってきたとき、我々は知ることになる。トッド・ヘインズのしかけはすごい。
ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラはともに名演を披露している。
キャロルの大人の余裕をまとった気品ある振る舞い。テレーズの、まさに恋する乙女のごとき佇まい。
まわりの男どもの愚かさが実に腹立たしく見えるのも、ふたりが素晴らしすぎたからかもしれない。
さて、ふたりはどうなったのか。
それは、観ている我々に委ねられた。
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