「タイトルに、テレーズも加えてあげてよ」キャロル りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルに、テレーズも加えてあげてよ
1950年代、米国ニューヨーク、時はクリスマスシーズン。
デパートのオモチャ売場の店員をしているテレーズ(ルーニー・マーラ)の前に、裕福な婦人のキャロル(ケイト・ブランシェット)が現われる。
幼い娘へのプレゼントとして人気の人形を所望したのだが売り切れで、別の商品を購入することにした。
その際、キャロルは高価そうな手袋を忘れ、テレーズはその忘れ物を商品の配達に同梱して届けた。
それが、はじまりだった・・・というハナシ。
まだ同性愛について理解のなかった50年代のこと、さぞや周囲のバッシングはヒドかったのだろう、そんな中で許されない愛を貫こうとするなんて、なんという困難だろう・・・
と、かってに観る前に思い描いていました。
ありゃりゃ、そんなところは全然描かれない。
まぁ、キャロルの離婚話に絡んで娘の親権を争う段になって「不道徳理由」と指摘されるのだから、全然というのは語弊はあるかもしれない。
でも、同性愛ということを横に置けば、不倫をしているのだから「不適切理由」には相当するんじゃないかしらん、なんて思うわけ。
どうしてこんな連想がでたのかとツラツラ考えると、どうも、ケイト・ブランシェット演じるキャロルが、お金持ちで脂ぎった中年オヤジにみえていたのだろう。
個人的な嗜好で申し訳ないが、ケイト・ブランシェットの金ぴかゴージャス感や押し出しの強さが、苦手なのです。
こういう連想が働くと、もう、いけない。
ルーニー・マーラ演じる小柄なテレーズが、中年オヤジの毒牙にかかった無辜な娘にみえて、ああ、なんでこんなオヤジに引っかかっちゃうんだぁ、なんて思っちゃう。
実際は、そんなことなく、テレーズも、これが「絶対の恋愛」と思って行動しているんだけど。
というわけで、鑑賞中、非常に居心地が悪かったです。
50年代の再現、バックに流れる音楽など、見どころは多いのですが、どうも個人的には受け付けなかったです。