「クールジャパンとは何だったのか」チャッピー MintSleepyさんの映画レビュー(感想・評価)
クールジャパンとは何だったのか
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凄いものを見てしまったとしか言えない。日本のアニメやポップカルチャーがグローバルにどう受容され、消化されたのかという問いの最高の回答が、ここにある。ロボコップやトランスフォーマーが例えどこで撮影されてもハリウッドのブロックバスター的な価値観から一歩もはみ出さないのとは対照的にブロムカンプはヨハネスブルグに拘り続ける。その結果がハイテクとスラムの近接であったり、不道徳や暴力が違和感なく蔓延する日常であったり到底日本では物理的にも感覚的にも撮ることの能わぬ世界だ。ハイテクの固まりのロボット警官が、赤ん坊のような真っさらな心で、少年や敵対する技術者達に襲われ、チンピラギャングスタの養子として利用されながら、自分の寿命を延命させるため、創造主に逆らってでも必死になる。人工知能と魂の問題、神と被造物の関係、教育や親子関係。色々なテーマが詰め込まれすぎていて、少し消化しきれていない感は否めないものの、エンターテインメントとしての結構を外さずにまとめたところは流石というべきか。英語の訛りのきつさや山場で出てくるカタカナのテンションという文字が日本人には間抜けに見えるところも含めて真のグローバル化とは何かを理解させてくれる一本でもある。例えそれが反知性主義やマイルドヤンキーといった言葉を連想させたとしても。
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