劇場公開日 2015年5月23日

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「感情移入するとヤバい。ロボットが辿る迫害と進化の歴史。」チャッピー 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5感情移入するとヤバい。ロボットが辿る迫害と進化の歴史。

2015年5月30日
PCから投稿

悲しい

怖い

難しい

【賛否両論チェック】
賛:“警察仕様のロボット”というだけで迫害され、少しずつ道を外れて成長していくチャッピーの姿に、人間としての在り方を深く考えさせられる。
否:お話そのものは荒唐無稽で、ツッコミどころも多々あり。終わり方にも賛否があるか。

 何も分からないまま生み出された罪なきチャッピーが、“警官型ロボット”だという理由だけで暴力を浴びせられ、傷つけられる姿に、観ていて胸が締めつけられるものがあります。そうして迫害を受け続けた結果、チャッピーが生きるために少しずつギャングの道へ足を踏み入れていってしまう様子もまた、人間社会への警鐘を鳴らしています。そしてそんな彼に、母親代わりのヨーランディが読み聞かせる「黒い羊」のお話も、本作を鋭く象徴しているようで、人間の浅ましさを改めて考えさせられます。
 お話そのものは割と荒唐無稽なので、それ自体の賛否両論はあるかと思いますが、その根本にあるテーマは非常に深いものがあると思います。社会問題に関心がある方などには、是非オススメです。

映画コーディネーター・門倉カド