「大化けしたブロムカンプ。」チャッピー bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
大化けしたブロムカンプ。
「第9地区」も「エリジウム」も私には余りピンと来なかったのですが、この作品は違いました。作風は「エイリアン2」や「ターミネーター2」を撮っていた頃のジェームス・キャメロンの作風に極めてよく似ています。破壊力満載の暴力描写がありつつも(但し、残虐な描写ではありません)、その根底には進化した人工知能ロボットが背負う悲しさが綿々と流れています。いずれ来るであろう、人工知能が活躍する未来へ大きな警鐘を鳴らし続けている、そんな映画です。上映中、会場の至る所ですすり泣きが洩れていました。ロボットが最初から最後まで大活躍する映画ですが、極めて人間臭い映画なのです。現在のところ、私にとっては、今年、公開された映画の中で最高の一本です。来年のアカデミー賞の賞レースが、今から楽しみです。また、男女の恋愛を一切、絡めていないところも好感がもてました。ハリウッド映画の悪弊で、どんな映画でも、隙あらば、男女の恋愛をぶち込もうとする風潮には、もう、うんざりです。
ただ、残念なのは現在の日本の映画界にブロムカンプのような才能を持った脚本家、監督がいない、ということです。日本映画、いつから、こんなに駄目になってしまったのでしょう。全く、悲しい限りです。
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