「グロテスク」チャッピー SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
グロテスク
第9地区が最高に面白かったので、同じような面白さを期待していたのだけど、ちょっと肩すかしの印象。
でも、普通の意味でとても面白かった。CGや開発環境の道具など非常にリアルで、リアリティに対するこだわりが感じられた。
ロボットを兵士や殺人・制圧の道具に使うというのは、現実には大きな問題になっていると思うが、この作品ではその疑問が呈されているわけではない。
人を殺人・制圧するロボットにAIを搭載すべきかどうかということに関しては更に大きな議論になりそうだけど、この作品ではAIを乗せる方がいいもんで、AIではなくあくまで人間が操縦するべきだ、とする方が悪いもんになってて、これは現実での議論の逆になってる感じで意外に思った。
チャッピーが人間の子供にしか見えなくて、かわいそうに思ったり、感情移入できたりすることには考えさせられる。
「こころ」というのは、見かけ外見ではなく、動きに対して強く感じるんだな、と思った。
チャッピーが死ぬように造られた、ということに対してメーカーに怒りをぶつけるところは、人間と神との関係を思わせる。
メーカーが深く考えずに作ってしまって、まさかこんなことになるとは、と嘆くのは、「盲目の時計職人」の例え話を思わせる。
メーカーとチャッピー、神と人間の関係は、結局は親と子の関係に収斂するように思う。この作品はその複雑な愛憎を描きたかったのかな?と思った。
最後はある種グロテスクなオチ。見せ方を変えたらホラーにでもなりそう。そういえばこの話ってフランケンシュタインにも似てるね。