「AIの行く末は?」チャッピー harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
AIの行く末は?
『第9地区』では[アパルトヘイト]を、『エリジウム』では[オバマケア]をメタファ-として織り込んで(と自分は思っているのだが)なかなか考えさせられる面白い作品を観せてくれたニール・ブロムカンプ監督が、今度は最近何かと話題の人工知能を題材にしてきた。
オセロや将棋での人工知能対人間の対戦がニュースになったりもしていますし、映画『her 世界でひとつの彼女』では人工知能のOSに恋してしまう男性が主人公のとても良い作品でした。
本作でも多少マイノリティのメタファ-は窺えたものの、基本的には人工知能がストレートなテーマですかね。
進化したAIを悪用されたら、とんでもないことになりそう。
「人工知能が人類を滅ぼす」と言うホーキング博士の意見も(そうなのかなぁ)と何となく分かる気がします。
もしかして人工知能が一人歩きしたら全ての概念が覆るかもしれない。と本作を観て思ってしまいました。
もし可愛いキャラクターの人工知能がとてつもない悪事を働いたりしたら、今までの価値観が全て狂ってくる。
全く見た目は当てにならなくなり、作品中にも出てきたように中身こそが全てになる。
でもそれって今の人間の世界でも本当は同じだなと思うと、やっぱりこれもまた人種差別のメタファ-なのか?と考えさせられてしまいました。
とにかくまぁニール・ブロムカンプという監督の作家性はそういうところにあるのだろうと思ったりもします。
と言うように、本作は例えば『トランスフォーマー』のようにエンターテイメントに特化した作品ではありません。そういうのを期待して行くとチョット期待ハズレになる恐れはあると思います。
『第9地区』や『エリジウム』が良かったという方なら、本作も気にいるのではないでしょうか?
自分はたいへん興味深く観れました。