「.」チャッピー 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅で鑑賞。監督が初めて撮った短篇"Tetra Vaal('04)"を長篇化。相変わらず画面は圧巻。虐げられ追われる存在と変容と云う監督の一貫したテーマに本作もプロットの核として貧民街のギャングが登場する。良くも悪くも『第9地区('09)』の焼き直しだが、細かい綻びや言葉(描写)足らずでやや見劣りする。監督と高校の友人だった常連のC.コプリーが出てないなと思ったら“チャッピー”役だった。“ヴィンセント・ムーア”のH.ジャックマン、出身のオーストラリア訛りの演技と胸板のぶ厚さで印象変わった。60/100点。
・“チャッピー”のネーミングは監督の母国南アフリカ共和国のガム(マスコットキャラはシマリス)の名称から来ているらしい。“スカウト”の両耳のアンテナは監督がファンだと云う士郎正宗の漫画『アップルシード』に登場する“ブリアレオス”に由来する。この“スカウト”に似たデザインのロボットは、監督の"Tetra Vaal('04)"以外にも短篇"Tempbot('06)"、『エリジウム('13)』にも登場している。“ムース”は『ロボコップ』シリーズ('87・'90・'92・'14)の“ED-209”を想起した。
・監督と同郷のラッパーグループ、ダイ・アントワードのニンジャ(「テンション」と書かれたパンツ姿を披露)とY-L.(クレジットではO-L.名義)ヴィッサーはキャスト以外に楽曲八曲を提供しており、プロダクションデザイナーとして二人は隠れ家の落書きや装飾等を担当している。そもそも監督のファンだと公言しているニンジャは『第9地区('09)』に因んだタトゥーを内唇に入れている。
・監督作では常連、B.オーレット演じる“ヒッポ”の隠れ家は、監督がカナダに移住する前の実家だと云う。
・ブルーレイに収録された「もうひとつのエンディング」では、“チャッピー”の意識が全“スカウト”に転送される。
・鑑賞日:2016年1月15日(金)