劇場公開日 2015年9月19日

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「優しさに溢れた映画でした」ポプラの秋 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5優しさに溢れた映画でした

2017年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

派手さはなく地味で静かな映画でしたが、ほんのり心癒されました。
序盤は説明なくゆったりと展開するので少々入り込み難かったですが、終わってみればなるほどここはこう言う訳だったのか、こんな心境だったのかと、思い返してみると納得な部分も多くて、後からジワジワっと心に沁みてきました。
それぞれの人物背景がそれほど深くは描かれていなかったので、思いっ切り感情移入してしまうタイプの映画では無かったですが、そこはある程度役者の演技力でカバー、特に主演の天才子役・本田望結はさすが見る者を惹きつける何かを持っていますね、あまりにも健気だったもので、思わず温かい目で見守ってあげたくなるような、そんな気分にさせられた作品でしたよ。

特に少女と大家のおばあさんの交流が深く印象に残りました。
あの絶妙な距離感がたまらなく良いんですよね。
本物の家族のような感じとは違ってちょっと壁はあるけど、ただのご近所さんともまた違うような、何とも言えない絶妙な線、これは中村玉緒の演技力・キャラ作りの上手さも光りましたね、ちょっと怖そうだけど、その裏に隠された優しさが見え隠れして、見ていてとても居心地の良さを感じました。
私はお婆ちゃん子として育ったので、この映画を見ていたら今は亡きお婆ちゃんのことをついつい思い出してしまいました、若干取っ付き難さを感じるところなんか、ちょっと似ていたので・・・ある意味お婆ちゃん子必見の映画とも言えたでしょうか。

天国に手紙を届けることが出来るおばあさんと言うことで、これファンタジーなのかな?とも思いつつ見ていたのですが、そうではなかったのも何気に好ポイント、当然ながら現実天国に手紙を届けることなんてできる訳がありませんが、故人に向けた手紙を書く行為、そこに意味があった訳ですよね、おばあさんは本当に心が温かい人だなぁ~。
それが集約された終盤のシーンは、思わず涙腺が緩んでしまいました、たくさんの想いが繋がったラストでしたね。

同じアパートの住人役・藤田朋子&宮川一朗太も何気にいい味出してました、アパートの住人同士が交流するなんて今の時代ほぼありえませんが、映画的にはほのぼの出来て、箸休め的に良かったです、終盤の老けメイクはご愛嬌と言ったところでしょうか。
千秋と少年の交流もちょっとほろ苦くて、切なくて、何気に印象に残りました。
まあ全体的には若干の物足りなさも残りはしましたが、ストーリーと役者の魅力でジンワリ余韻に浸れる一本ではあったかなと。

スペランカー