「ロマンスを見ているか?」ロマンス みるくろーどさんの映画レビュー(感想・評価)
ロマンスを見ているか?
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大きな事件もなく淡々と進む一泊二日のロードムービー。
唐突に知らないおっさんとの道行になってしまったのは主人公が生まれながらに持ったダメンズセンサーのなす業なのか。
きりっとした制服の後ろ姿
街中を疾走する姿
リラックスして口ずさむ「いい日旅立ち」の歌声
軽妙な科白のやり取りに心を軽くされながらも、散りばめられたキラーシーンで主人公北条鉢子に大島優子本人の姿を重ねて観ているうちに、何故かわが身にも照らし合わせてしまい、あの時の我が子の瞳や親の哀しい表情を見つけて心がきりきりとしてしまうのは、日常的な空間である箱根を舞台装置にしてるが故か。
懸命に両親のかすがいになろうと振る舞う鉢子のいじらしさにススキヶ原の背景が効果的で、さらに、箱根を巡りながら記憶を辿ってゆく鉢子の心情を大島優子が表情だけで雄弁に物語る。
ラブホテルのベッドシーンは、精神的にも追い詰められていた桜庭の状況を端的に表しているし、母親と同じ色で汚れなかったことが、次の日以降の鉢子の清々しさを生み出しているものに思えた。
最高の笑顔で一人の女としての成長を示したエンディングからの癒し系主題歌の流れは、癒しと勇気を与えてくれた。
今を受け入れて自分らしく生きるということを。
映画「ロマンス」を見ているか?
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