劇場公開日 2015年6月19日

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「忍耐と信念の強さによって権利を勝ち取った」グローリー 明日への行進 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5忍耐と信念の強さによって権利を勝ち取った

2024年9月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 公民権法や投票権法といった法律の制定や差別の撤廃は、受け身で指をくわえて待っていれば実現するものではなかった。それは、キング牧師ら公民権運動を起こした黒人達による、忍耐に忍耐を重ねた積極的な活動によって実現したものだった。

 今作の冒頭にもあったように、当時の南部の州においては、黒人は投票を行おうとすると白人と違ってテストを受けさせられ投票できないように妨害された。また、教会など黒人が集まる場所に放火をされたり、暴走した白人によってリンチを受けたりした。そのような非人道的な扱いを受けてもなお、キング牧師らは怒りに任せて暴力的な行動に走らなかった。そして平和的なデモを粘り強く継続した。それは、暴力的な行為を行えば多くの人々の支持を受けることができないという、長期的な目線を持てていたからこそだろう。その忍耐と信念の強さには頭が下がる。

 ストーリーは結構単調で盛り上がるシーンも少ないが、お涙頂戴的な過度な演出もなく、リアルに当時の様子を描いた作品として今作は重要だと思う。

根岸 圭一