「こんな社会が理想的、爽やかで前向きな気持ちにさせられた映画でした」マイ・インターン スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな社会が理想的、爽やかで前向きな気持ちにさせられた映画でした
若い世代と高齢者が、こんな形で共存する社会を作れたら、これ以上素晴らしいことはないですよね。
ある意味ファンタジーに近いような理想形の関係を描いた映画でしたので、リアルとは少々言い難い内容でしたが、間違いなく見終わって前向きになれるような、どの世代の人をも応援するような後味爽やかな作風はとても好感が持てて、とにかく見て良かったなと思えた作品でした。
それと男にとっては、こんな風に歳を重ねられたらとするような、ある種バイブル的な作品でもありましたね、ベンを演じたデ・ニーロが素敵過ぎです。
正直アン・ハサウェイが演じた女社長ジュールズが、最初に70歳のベンに対して偏見に満ちた眼差しで接していたのは、極々自然な流れだと思います。
もし明日から急に自分の下にこんなおじさんが配置されたなら、ジュールズ同様普通にまともな仕事は頼めないでしょう・・・。
そんな世間の風潮に一石を投じたのが、この映画ってことですね。
確かにネットをまともに扱えない弱点はある、しかしそこさえクリアすればこれ以上の戦力はない、古い者には古い者の良さがある、経験値がある、そんなことをまざまざと見せ付けられた作品でした。
またベンの気配り具合と謙虚さに心底ホッとさせられるんですよね、若い世代が少しづつ心惹かれていくのも、思わず納得なデ・ニーロマジックでした。
ベンだけでなく、勿論ジュールズ社長も素敵な女性ではありましたね。
見る前は、「プラダを着た悪魔」とは逆で今度はメリル・ストリープのような役を演じるのかと思っていたのですが、アン・ハサウェイのキャラにそれは似合わないのも一目瞭然ですから、今回のような役で正解だったと思いますし、これはこれでとても感情移入させられた役どころでした。
全てに置いて完璧、と思わせといて弱い部分もあるのは人間なら当然な訳で、そんな部分の見せ方がとても秀逸なアンの演技だったなと思いましたよ。
そこでも公私に渡ってさりげなく心支えるデ・ニーロの優しさがホントたまらなく良かったなぁ。
そこに恋愛感情を挟まない作風にしたのも、この映画がスッと心に入ってきた要因の一つでした。
また高齢者問題、仕事を持つ女性の子育て&家庭の問題等々、現代が抱える様々な問題をさりげなく盛り込んだ辺りも、好ポイントでしたね。
本線と全く関係のないちょっと笑える描写の数々も、何気にツボでしたよ。
最後のまとめ方がちょっと綺麗過ぎた印象で微妙に心に刺さらない部分もありはしましたが、基本的にはとてもいい映画を見た満足感に浸れる一本だったと思いました。