劇場公開日 2015年10月10日

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マイ・インターン : インタビュー

2015年10月9日更新
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アン・ハサウェイが明かす“2015年のいま、32歳だからこその思い”

ある日突然プリンセスだと知らされたサエない高校生や、伝説の鬼編集長の新米アシスタントとして、同年代の女子たちの悩みや願望をスクリーンで体現してきたアン・ハサウェイが、最新作「マイ・インターン」では仕事に家庭に一生懸命なアラサー女子に等身大の気持ちを詰め込んだ。社会の変化、自分自身の成長、そして女優としての将来。米ニューヨークでインタビューに応じたハサウェイが、“2015年のいま、32歳だからこその思い”を存分に語った。(取材・文・写真/編集部)

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立ち上げたファッションビジネスが大成功、家に帰れば専業主夫の夫とかわいい娘。ハサウェイ演じるジュールズは充実した人生を送っているが、会社は予想を上回るペースで急成長し、外部からCEOを雇うよう勧められる。そうすれば家族との時間も増えるけど、自分が育てた会社を誰かに渡すなんて……。そんなとき目の前に現れたのは、“シニア・インターン”として採用した70歳のベン(ロバート・デ・ニーロ)。最初のうちはあまりにも気が利くベンをうっとうしく思ってしまうのだが、次第に信頼と友情が芽生えていく。

「以前、夫の両親と休日を過ごしたことがあったんだけど、その時にみんなで楽しめる映画がなかなかなかったの。その3日後、この映画の脚本が送られてきたから『これだ!』って思ったわ」。ナンシー・マイヤーズ監督が作り上げた人間味あふれるキャラクターたちの物語に魅了されたハサウェイは、オスカー女優でありながらオーディションを受けジュールズ役を手に入れた。

そのジュールズは猛烈に仕事に打ち込む女社長だが、「厳しい上司になってほしくなかったの。それに、働く女性として完璧であってほしくもなかった」とハサウェイは語る。「突然変化した環境に圧倒されているけど、それに負けないように全力を尽くしているの」。努力家で夢に突き進むジュールズの姿は、「プラダを着た悪魔」の主人公のその後のようでもある。

同作の公開から9年、ハサウェイは要職に就く女性が増えたと感じているようで「女性の働く環境や男女同一賃金についても世間でよく話題にされるようになった。でも、目指すところまで到達できていないでしょ」と指摘。「もう2015年なんだから、そういったことは実現されていいはずよ」と期待を込めながら、自分自身の変化にも重ね合わせる。「23歳と32歳の人では住む世界は全く違うと思うの。私の場合は、年齢を重ねるにつれてどんどん自分らしくなっている気がする。きっとそう感じられる社会になっているんじゃないかしら」

(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED

一方「マイ・インターン」の劇中では、「女の子は大人の女性へと成熟したのに、男は逆に大人の男性から男の子になった」とマイヤーズ監督の主張を代弁しているが、「男性はやりたいことを実現できる環境にいることが普通だったから、今まさにそういう時代が女性に訪れているということになかなか気付けていないのかもしれない。けれどナンシーはそうした社会の動きをちゃんと見つめていたの」と解き明かす。

そんなイマドキのがんばる女性と、大人になりきれない男性たちを優しく導く人生の先輩ベンをチャーミングに演じたのは、名優ロバート・デ・ニーロ。「少しずつお互いの距離を縮めていって、あるときベンとジュールズのような関係になっていた」と初共演を振り返るハサウェイだが、以前からデ・ニーロの大ファンだったという。「ジェダイのような人なの。不満をもらすこともないし、特別扱いされることも好まない」と親しみと尊敬を込めて語る。

「ボブ(デ・ニーロ)から学んだことは、難しい局面に立たされても感情的にならずに落ち着くことかしら。ときどき慌ててしまったり、心配してしまったりするでしょ。それって何かを大切に思っているということかもしれないけれど、実際にはエネルギーの無駄だったりするの」。さらに、「ナンシーやボブは私よりもずっと年上でしょ。だから映画の撮影中、私はまるで新人のような気分だった。でも撮影が終わる頃には、ふたりの豊かな経験のおかげで大きく成長できた気がしたわ」と得るものは多かったようだ。

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本作の撮影後、今年4~5月にかけて一人芝居(「Grounded」)に挑んだことで「自分にもっと自信が持てるようになった」というハサウェイは、「演じることが何よりも好きよ。それに年齢を重ねるにつれてお芝居にも深みが増すと思っているの。だからこの仕事が続けられたら嬉しいわ」と力を込める。前作「ブルックリンの恋人」でプロデュース業に進出したが、実は女優業を続けるための戦略でもあったという。

「ハリウッドの現状が変わらないかぎり、30代後半になってしまうと女優には演じられる役がほとんどなくなってしまうわ。私が30代後半になるまでにその状況が変わってくれるとは当てにできない。だからプロデューサーとしての可能性を残しておきたかったの。そうすることで、たとえ女優として求められなくなったとしても、自分のプロデュースする映画には出演することができるから」

好きな仕事のために努力を惜しまない姿勢は、本作のジュールズとも重なる。そんなハサウェイは、「私の性格的に仕事をしながらプライベートとのバランスを見つけるのは難しいから、仕事をしているときは仕事だけに集中する」という一方で、しっかりと休みを取ることで「生活にバランスも生まれてきた」と明かす。そして本作では世代を超えた友情がテーマになっているが、世代・性別・文化といった壁を乗り越えよい人間関係を築くために大切なのは、コミュニケーションだと即答。「意識して言葉を使うことでポジティブにもなれるし、いいエネルギーを作ることができるから。だからといって嘘はついちゃダメよ」。まるで劇中のベンのように有意義な答えをスラスラと導いていく。

「年齢を重ねるにつれて、意地悪になったり、人を憎んだりする必要はないと思うようになったの。年をとってもネガティブな感情から抜け出せないでいると、他人に不快感を与えてしまう人間になってしまうと思うから。そうならないためにも優しさをもってコミュニケーションをとると、いろんな人のことを受け入れられるようになると思うし、もっと物事がうまくいくようになるのよ」

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