「ベンは30女のための妖精。」マイ・インターン だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
ベンは30女のための妖精。
プラダを着た悪魔は納得いかないストーリーだったんですよ。冴えない彼氏の元に戻らない方が良いだろうと思えてね。
で、マイインターンはやたらとプラダをきた悪魔の⚪︎⚪︎が!と謳ってるもんだから、わたしの口には合わないかもと思い、優先順位低めだったんです。でもでも面白いって聞くし、ちゃんと調べるとプラダをきた悪魔とは監督が違って、恋愛適齢期の人らしい。恋愛適齢期は大好きだしなぁ。
ということで、観てきました。結果、よくできてるなぁという感想です。
あの作品のあの人が!に気づく楽しみもありました。
ピッチパーフェクトのイケてないのにいきってるボーイズグループのリーダーの彼がインターン達の案内役でしたね。
ほんで、きっと星のせいじゃない。の失明してたガスの友達の子(ハッピーエンドか書けるまでの弟くん)もシニアインターンの面接官としてちょろっと出てました。この子かわいいよねー。ナットくん?かな。
こういう役者のリンクを見つけるの好きです。
では、本筋の感想ですが、
ベンがかわいいです。デニーロったらますます可愛げを増してて、良かったです。
んが、ベンは絶対実在しない男性ですね。
やもめの70男が、30女の悲哀にちょうど良く寄り添えるわけないんです。30男だってほとんどがダメなのに、さらに前時代の男がフェミニズムをデフォルト装備している現代の女をあんな風にスマートに支えられるわけがない。
なので、ベンは妖精なんですよ。われわれ30女のための妖精なんですよ。そのように思ってベンを愛でました。
70になっても色気もあって、順応性もたかく、さらっと気がきくなんて!素晴らしい男性像ではありますが、いるわけないことをちゃんとわかる程度にあたしも大人ですから。使い込んだビジネスアイテムやグラデーションに整えられてるネクタイや、すごい量のビジネスウェアがいかしてましたが、どこのエグゼクティブやねん!って感じでしたが、まぁフェアリーなんでwなんでもありっす。
鏡の前で瞬きしながら笑顔の練習とか、すげーチャーミングでした。
雨に唄えばを見て涙ぐむ70男って、絶対妖精さんやないですか!
アンハサウェイ演じるジュールズは、がんばりが独りよがりになりがちな新米社長で、育メンの夫ともすれ違い中。その等身大の苛立ち、悲しみに共感しました。
プラダをきた悪魔の役があまり好かんかったので、というか、あんまりアンハサウェイが演じる人に共感したことがなかったのですが、今回はしましたねー。
一番グッときたのはシスコのホテルでのベンへの相談あたりから、ブルックリンの自宅で涙を浮かべながらバスタブに浸かっているシーンあたりですね。特に、バスタブのシーンはセリフもないのですが、夫婦の歯ブラシ、夫婦のローブを見つめながら思い悩む姿にこっちも泣けるぜという感じでして、ジュールズの感情が伝わってくるいいシーンでした。
おかーさんとの不仲描写は家屋侵入のための布石って感じで若干あざといなーて思いましたが、まぁいいでしょう。
笑いあり、涙あり、ハラハラも多少ありの普段映画を観ない人でも楽しみやすい感じですね。かといってごちゃ混ぜ感が強いわけでもなく、うまくできてるなーて思いました。
ベンからの肯定という、現代を生きる30女への応援も、嫌味がなくすっと受け入れられますしね。いいと思います。