「女性にとっての理想の男性像」マイ・インターン りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
女性にとっての理想の男性像
『プラダを着た悪魔』でアン・ハサウェイが演じたアンドレアが成長したかのような雰囲気を醸し出ている『マイ・インターン』。
自身のファッション好きが高じて、ネットビジネスで急成長のファッション会社オーナーとなったジュールズ(アン・ハサウェイ)。
社会貢献の一環として、彼女の会社で退職した高齢者を雇うシニア・インターン制度を導入することとなった。
そこへ応募してきたのが、ベン(ロバート・デ・ニーロ)。
彼女の会社のあるブルックリンで生まれ育ち、電話帳製作会社に永年勤めてきた彼。
ファンション業界は初めてであったが、これまでの人生経験が役立ち、会社はもとよりジュールズにとって大切な立場となっていく・・・というナンシー・マイヤーズの脚本、前半は頗る順調。
畑違いのベンが、人生経験の量と質の違いから、周囲のひとびとから一目置かれる存在となっていくあたりは、快調快調。
そして、仕事一筋でここ2年ばかり過ごしてきたジュールズが、不穏になった家庭とビジネスキャリアを天秤にかけて悩むあたりも、なかなか興味深い。
特に、女性の社会進出が顕著と目される米国において、いまだに、専業主婦がジュールズのようなキャリアウーマンを蔑んでいる描写は、かなり興味深い。
なので、映画的には大筋OK。
なんだけれど、ベンと仲間たちとによるジュールズの母親宅への侵入エピソードなど、他愛ないギャグを挟み込んでいるあたりが、どうにもこの映画の好いところを殺いでいる感じ。
その他、ベンがあまりにいい人すぎるのもどうかしらん。
ロバート・デ・ニーロがニコニコしていると、永年、彼の映画を観てきたものとしては、「本心はちがうんじゃない」なんて穿った観方をしてしまいます。
まぁ、これは『ハート・オブ・ウーマン』や『恋愛適齢期』、『恋するベーカリー』などで、女性にとっての理想の男性を描き続けてきたナンシー・マイヤーズの、理想の男性像だから仕方がないのかもしれませんが。
ウェルメイドなホロッとするコメディとして評価します。