「最後までシリアス貫け!」ファンタスティック・フォー SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
最後までシリアス貫け!
他の人のレビュー見ると、特殊能力身につけるまでの前半のドラマが展開が遅く不評のようだったけど、個人的にはとても良かった。
前作シリーズと違って、シリアスでハラハラする展開が続く。全体的にSF的説得力が増している。
政府に利用されないように抵抗しながらも、結局は抗えない、というやるせなさも良い。
ヴィクターが研究所内で次々に所員を抹殺していくあたりなんかは、まるでホラー映画のようにショッキングだ。
ヴィクターの強さと怖さに説得力を与えているのは、彼を異次元に置き去りにしてしまったという罪悪感と、一年間あのような常軌を逸した世界で生き延びなければならなかった、という悲劇のせいだ。
まるでリングの貞子。
しかし、ヴィクターをドゥームとして悪役にしてしまってからは、もうお決まりの軽いノリでの戦闘と、御都合主義、そして能天気なハッピーエンド。
どうせシリアス展開にリニューアルしたのなら、それを最後まで貫いて欲しかった。
ドゥームをあんなに簡単に倒してしまったこともおかしいし、かつて仲間だった彼を殺してしまったことに対する感傷もないのもあんまりだ。
ブラックホールによる大災害の犠牲者は数千人規模だと思われるが、そのきっかけとなる研究を始めたのは自分達である、という後悔だって少しはあってしかるべきではないか? 「君たちは世界を救った」と言われて得意げになってるんじゃないよ。
以下のようなら、納得できた。
・ドゥームは倒せないまでも、地球と異次元をつなぐバイパスはなんとか破壊
・いつかはヴィクターを元の人間に戻すことを目標にする
・ドゥームの次の攻撃に備えて、自分達の治療はしない
・ブラックホールの大災害の責任は自分達にあると重く受け止める
初めから最後まで悲壮感溢れる重い話になっちゃうけど。