「なかなか」キングスマン まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
なかなか
興味深い作品でした。
今年2024年パリオリンピックの開会式で、マリーアントワネットのギロチンの演出に賛否が分かれましたが、今作の終盤で人間の首がカラフルな煙を上げながら次々と爆発していくシーンは、とてもシュールでポップ、スマートでオシャレ味すらある。正にあの開会式の演出に近いものを感じました。
ヨーロッパはどうしても殺戮、革命の血みどろ歴史っていう側面があると思う。昔の西洋画もグロテスクな生々しい描写、とくにキリスト教にまつわる題材や戦争の歴史を描いたものがたくさんある。映画の教会のシーンで、死体の山を引きで撮影したところは昔の暗い西洋画の再現にしか見えなかった。ああいうシーンを教会で撮ると凄みが増すという手法、あちらのお家芸と言ってもいい。もうほんと地獄絵図みたいになる。あと、尺がちょっと長過ぎるんよね。ひたすら殺しまくる残虐なシーンなので、抵抗感が出るのも無理はない。
知識がないせいで「なんか西洋画っぽい」という大雑把な感想しか出て来ないが、誰か、山田五郎さんとか映画の解説してくれないかな…面白い話聞きたい。
スパイ道具やブリティッシュスタイルは古風でかっこいい、好き。古風さが仇となって若干ダサい感じもあるので(てかアレはいじってんのかな)ターミネーターみたいなマッチョな感じが好きな人にはもしかすると合わないかもしれない。英国紳士を白人が演るのは当然として、メインの悪役を黒人に、男性だけでなく女性にも大きい役で、アジアっぽい要素も入れて。まんべんなく散らしてます〜って印象。
しかし、10年前の作品なんだな。人を殺し過ぎるけど、全体としては面白かったです。元々がコミックなので、そのサブカルチャーっぽさが程よいと思います。