「理屈と感覚の矛盾」キングスマン SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
理屈と感覚の矛盾
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この映画の最大の魅力は、楽しい殺戮シーン、だろう。
理屈で考えれば反吐が出るほど気色悪いシーン。教会で味方が一般市民を次々に殺戮していくところなど、ひどい。
でも、なぜか笑ってしまうほど楽しくて爽快で、後味も悪くない。はっはっはw! もっとやれ!w そんな感じ。
理屈と感覚が大きく矛盾していて、その理由がよく分からない。
最後に敵側の組織が次々に爆死するシーンも、普通の感覚の人間ならそのひどさに吐いてもいいくらいなのに、味方側はにこやかに笑って、「正義は勝つ!」みたいな終わりかた。
この映画は面白い。ばつぐんに面白い。面白いけど、面白く観れてしまうことが怖い。
裏のテーマに「差別」があるのも不気味だ。
差別を肯定しているようだったり、否定しているようだったり、容易には映画の真の狙いが読み解けない。
一見、「差別なんて何も関係ねー! 俺たちに思想の主張なんてねー! 単に現実世界のモラルのタブーを破りまくった爽快感だけを追求したんだ!」という映画のようにも見える。
でも、この映画の殺戮シーンの爽快さはたぶん、「気にくわないやつ、嫌いなやつ、気持ち悪いやつ、いい気になってるやつ、裕福なやつはみんなぶっ殺されろ!」という願望を表したもののように見えてしまう。
気のせいって言われそうだけど、やっぱりもやもやするところ。
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